※  妄想小説です
実在する人物・地名・団体とは一切関係ありません
BL的表現を含みます。











神社の入り口まで来ると、かなりの人で賑わっていた。

行き交う人の楽しげな顔。

その様子を目にしただけで、ワクワクした気持ちが膨らんじゃう。

「わ〜。
結構人多いね!」

そう声を上げると、翔くんが腕組みしながら頷く。

「そうだな。
この辺りじゃ有名な祭りだし。
俺も小さい頃から来てたんだよ」

「そうなの?」

「うん。
最近はずっと来てなかったけどね」

「僕もお祭りって久しぶり!」

「ふふ。そっか。
さてと…。
この後出し物があるみたいだけど
その前に屋台を見てこようか?」

「うんっ!
屋台〜♪」

大鳥居を潜ると、池があって朱色の小さな橋がかかっている。

そこを渡ると本殿に続く参道の両脇にズラっと屋台が並んでいた。

「翔くん!
屋台いっぱいある〜!」

「だね。
この匂いも変わってないなぁ〜」

そうだよね〜!

屋台のあちこちから、食べ物の良い匂いが漂ってくる。

甘い匂いに食欲がそそられちゃう!

色々見て回りたいけど、まずはこの匂いの元へ行っちゃう?

「ふふ。ちょっと腹ごしらえでもしよっか?」

「うん!
美味しそうな匂いがいっぱいだもんね〜」

翔くんの提案に速攻で賛成する。

中でも心惹かれるのは…。

この香ばしいソースの匂い!

「翔くん、たこ焼き食べたい!」

「智も?
俺も今そう思ってたんだ!」

んふふ。

以心伝心ってやつかな?

たこ焼き屋さんで注文すると、タオル鉢巻きをしたお兄さんが「焼きたてだから熱いよ〜」って言いながら、舟型の入れ物に乗ったたこ焼きを渡してくれた。

ホカホカと湯気を立てるたこ焼き達。

上に乗った削り節がフワフワ踊ってて、見るからに美味しそう〜!

屋台の隙間、人の通行の邪魔にならないスペースで、翔くんと2人たこ焼きをつつく。

立ち食いっていうのも、お祭りに来たなぁ〜って感じがしてウキウキしちゃう。

楊枝に刺した、たこ焼きをパクっと口に放り込んだら、口の中いっぱいにソースの旨味が広がる。

けど。

「…っ!ふがっ!
あづづづ…っ!」

そんなに熱そうに見えなかったのに、たこ焼きの中はアッツアッツで文字通り口の中がお祭り騒ぎになった。

「あ〜、智!
焼きたてだから熱いのに。
大丈夫?」

口の中でたこ焼きを転がし、フガフガしてる僕を見て翔くんが眉を下げる。

「ほら、これ飲んで?」

って言いながら、さっき買ったペットボトルのお茶を渡してくれた。

それをゴクゴクと飲んで、熱せられた口の中を冷ます。

「ふはぁ〜。
熱かった〜」

「冷ましながら食べた方が良さそうだね。
口の中大丈夫?
火傷してない?」

「うん、すぐお茶飲んだから大丈夫だよ」

それからはフーフーしながらたこ焼きを頬張った。

翔くんも同じ様にフーフーしてる。

口を窄めてたこ焼きを冷ましてる翔くんが、なんだか幼く見えて凄く可愛い!

「んふ、翔くん
なんか可愛い〜」

「え?どこが?」

「フーフーしてる所!」

「ただ冷ましてるだけだよ?」

んふふ。

そうなんだけど、そうじゃないんだよね〜。

僕の目にはそんな姿も可愛く見えちゃうの!

ニマニマする僕を見て何か感じたのか、翔くんが照れ臭そうにこめかみを掻く。

ほら、そんな表情すると余計可愛い!

「もう、智ってば。
そんなに見られると恥ずかしいよ」

「んふふ。そうだよね。
ごめん〜」

翔くんに謝った後、1皿分のたこ焼きを2人で平らげてまた屋台の並ぶ参道へと戻る。

小腹も満たしたし、次はどの屋台を楽しもう?

射的やくじ引き…色々楽しそう!

キョロキョロと物色していると一軒の屋台が目に飛び込んできて、ピタっと足が止まった。

「わ、ヨーヨー釣りだ!
翔くん、これしたい!」

「良いね。
そうだ、折角だから競争しない?」

「どっちが多く取れるかってこと?」

「うん、そう!
負けた方が一杯奢るので、どう?」

「うんっ!
翔くんの奢りで呑んじゃう!」

「え〜。まだ俺が負けた訳じゃないのに〜」

「そうだった!ごめん〜」

屋台のお兄さんに2人分の仕掛けを貰って。

いざ!勝負!

家庭用プールに浮かぶ、カラフルな水ヨーヨー達を見比べ、掬いやすそうなやつに狙いを定める。

こよりの先に付いた針金にヨーヨーの輪っかを潜らせて釣るだけなんだけど、ユラユラ水に漂う動きがランダムでなかなか上手くいかない。

隣りにいる翔くんも、同じみたいで空振りしては「あ〜…」と声を上げている。

ちゃんとヨーヨーの動きに合わせなきゃ!

よしっと気合いを入れ直して、慎重にヨーヨーの輪っかに針金を通す。

プカっと浮いた一瞬を見計らってえいっと、こよりを持ち上げるとやっとヨーヨーが掬えた。

「やった!一個ゲット!」

うん!なんとなくコツが掴めたかも?

「やったね、智。
俺も負けないよ〜」

って息巻いた翔くんだけど…。

結果は僕が3個、翔くんが1個の釣果で、僕に軍配が上がった。

「あーあ。やっぱ俺が負けたかぁ〜」

って言いながらも翔くんの表情は楽しそう。

そんな楽しげな翔くんを見ると、僕のテンションも自然と上がっちゃう〜!

うん!

やっぱりお祭りって楽しいよね!







※明日は日曜日のためお休みです〜。