こちらは
お誕生日祭りでぃプチコラボ企画
参加のお話になります。

yayosato様のお話はこちらから

コラボ参加者ご紹介




※  妄想小説です 
実在する人物・地名・団体とは一切関係ありません BL的表現を含みます








お酒の力を借りようと思ったのがマズかった。

 
結構飲んでしまい、お店を出る頃には
 
俺はかなりフラフラだった。
 
 
タクシーを捕まえて、2人で乗り込む。
 
先に着いたのは智の家。
 
本当はそこで智だけを降すつもりだったんだけど、車酔いした俺は智の部屋で休ませて貰うことになった。
 
 
 
「うげぇ〜、ゴフッ!うえっ〜」  
 
入って直ぐに、トイレとお友達状態の俺。
 
苦しいやら、悔しいやらで涙が出てくる。
 
「しょぉ〜、大丈夫?
背中さするぞ」
 
何も気にする風でもなく、優しく俺の背中をさすってくれる智。
 
「ごべんねぇ…」
 
「いいって。俺もよくやっちゃうんだよ。
気にするなって」
 
なんか智、言葉遣いとか態度とか随分男前になってない?
 
釘を打たれるような頭痛に、頭を抱えながら、うーうー言う俺に
 
「その様子じゃ、帰るのは無理そうだな」
 
情けないけど、またタクシー乗ったらどうなるかなんて火を見るより明らかだ。
 
「ごめん…」
 
「んふふ。良いんだよ。
それより口の中気持ち悪いだろ?
うがいしてこいよ。
一応、新しい歯ブラシも出しといたから」
 
テキパキと動く智。
 
言葉遣いといい態度といい、これがプライベートの智なんだろうな。
 
お店で見てた智は、仕事用の顔だったんだな。
 
なんか一気に距離が縮まったみたいで、嬉しいのは俺だけかな。
 
仕事中のマイナスイオン的な智も良いけど、ちょっと粗野な智も…かなり良い!
 
吐くだけ吐いたら少しだけスッキリして、洗面台に向かう。
 
口の中が気持ち悪すぎて、しっかり歯磨きもして
うがいをするとかなりサッパリした。
 
「翔、これ飲んで。
二日酔いに効くから」
 
「何から何まで…」
 
「そんなの良いから。あっちに布団敷いたから着替えて寝たほうが良いよ。
着替えは俺の部屋着になっちゃうけど」
 
 
「うん、迷惑かけて本当ごめん。
と、取り敢えず寝るね…」
 
「俺は隣で寝るけど、具合悪くなったら起こして良いからね」
 
 
頭はガンガンするし、とてもじゃないけど眠れそうにない。
 
でも座ってる事すら辛いから、智の用意してくれた部屋着に着替え、早々に布団に潜り込んだ。
 
暫くすると、智が隣にあるベッドに入って来たのが分かった。
 
そしてあっという間に、スースーと寝息が聞こえ始める。
 
その規則正しいリズムが心地良くて、気がつけばいつの間にか眠っていた。
 
朝方、喉がカラカラに乾いて目が覚める。
 
「み、水」
 
冷蔵庫からペットボトルを拝借して、一気に流し込む。それでも足りなくて、もう1本追加する。
 
智がくれた薬のお陰か、頭痛も大分治っていた。
 
もう一度寝室に戻って、ベッドで寝ている智を上から眺める。
 
って!!
 
なんで枕の上に足があるんだよ!
 
ここに足があるということは…

やっぱり! 
 
ベッドの後ろから頭が見えてる!
 
智って寝相悪いんだなぁ~。意外な発見。ふふ。
 
人の気配に気づいたのか、ベッドの中身がもぞもぞしだす。
 
なんだろ。その姿がめちゃめちゃ可愛い。
 
「ん~。しょぉ?」
 
枕とは真逆の位置から頭を出して、俺の名を呼ぶ。
 
何その話し方、甘えん坊の子供みたいじゃん。
 
「ふふふ、ここにいるよ?」
 
ぼんやりといた頭が覚醒してきたのか、自分の状況を理解したようで
 
「あー、またかぁ~」と言って苦笑いする智。
 
「ふふふ。智っていつもそんな寝相悪いの?」
 
「ん~。なんか動きまわちゃうんだよね~
それより翔、具合はどう?」
 
「お陰様で。かなりスッキリしたよ」
 
「そりゃ良かった。一度家に戻るんだろ?
そろそろ出る?」
 
「今家に帰ったらもう一回寝そう・・・」
 
「じゃ 朝飯でも食ってから帰ったら?」
 
「うん。実はハラペコなんだよね。
この辺コンビニある?」
 
「そんなとこ行かなくても俺が作るよ」
 
「え!智の手作り?」
 
「そうだけど?コンビニのほうがいい?」
 
「いや!智のご飯が良い!!」
 
「ふふ、変なやつ」
 
それから智はご飯を炊いて、お味噌汁と鮭の塩焼き、ほうれん草のお浸し、卵焼きをパッパと作ってくれた。
 
 
「うんまぁ~い!智!俺こんな旨い飯食ったことない!!」
 
「大げさだなぁ~。昨日の夜食った飯屋の料理も旨かっただろ?」
 
「そうだけど
智が作ってくれたから余計旨く感じるの!」
 
俺は、並べられたおかずやごはん、味噌汁を次々とかっこんでいく。
 
「翔って食べっぷり良いよなぁ~。
作り甲斐があるわ」
 
「モグ・・・よく、んぐ 言われうg」
 
「食べながらしゃべんなって」
 
そう言いながら智は、凄く優しい笑顔を見せた。