引き続き「自然災害時におけるラジオの役割」について調べて見ます
石川県防災総合訓練
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2022年(令和4年)総務省北陸総合通信局では、石川県防災総合訓練(主催: 石川県、川北町)において、臨時災害放送局(臨時FM放送局)の開設訓練を実施しました
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「北陸臨災FM実験1」
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訓練日時
令和4年9月25日(日)
9:00~11:30
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2024年(令和6年)1月1日
令和6年能登半島地震が発生
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「阪神・淡路大震災」「東日本大震災」など大きな自然災害を経験しました
そして、臨時災害放送局(臨時FM放送局)の開設訓練も実施しました
過去の自然災害と訓練
「能登半島地震」では、これまでの経験をどれだけ活かされたのか
今回も「東日本大震災」での状況を振り返ってみます
「東日本大震災」では、地震による「激しい揺れ」と「巨大な津波」による被害が広範囲に及びました
特に被害が大きかった「岩手県」「宮城県」「福島県」では、数多くの自治体で「臨時災害放送局」を開設しております
資料からは、津波による被害が大きかった沿岸市町での開設が目立ちます
📡
臨時災害放送の必要性
福島県富岡町でも臨時災害放送局(富岡町臨時災害放送局)を開設しました
呼出名称
とみおかさいがいエフエム
愛称
おだがいさまFM
(「おだがいさま」とは、福島県の方言で「お互い様(おたがいさま)」のことのようです)
周波数
87.4MHz (2011年4月~2011年9月)
76.9MHz (2012年3月~2018年3月30日)
出力
10W
開設期間
2011年4月から2018年3月の7年間
聴取可能エリア
福島県富岡町の臨時災害放送局は、富岡町に開設してません
開設したのは、東京電力福島第一原発事故により、多くの町民が避難していた福島県郡山市内
聴取可能エリアは、郡山市の一部地域となります
📻
郡山市では
rfcラジオ福島(AM放送)
ふくしまFM(FM放送)
郡山コミュニティ放送(CFM放送)
を聴くことが出来ます
が
あえて町民の多くが避難していた郡山市に臨時災害放送局を開設しております
seisの考え
自然災害発生後に必要な情報は、時間の経過と共に変化すると考えております
seisが勝手に考えた、必要とする情報の変化
自然災害発生
↓
①状況を把握するための広域情報
地震の場合
震源地
地震の規模
各地の震度
津波の有無 など
↓
②自分が住んでいる(現在いる)市町村を中心にした周辺の情報
火災
停電
道路状況 など
↓
③家族等の安否情報
↓
④生活情報
避難先
給水
炊き出し
支援物資 など
自然災害発生直後であれば、AM放送が適していると思います
あえてFMではなく、AMにこだわったのは、避難を含めた移動
徒歩での避難よりも、自家用車での避難が圧倒的に多いはずです
移動距離や地形で受信状態が変化するFMラジオ
AMラジオの方が安定して聴くことが出来ます
ただAMラジオ、伝える情報の内容にも限界はあると思います
放送範囲が広域になってしまうと、個別の情報にまで対応しきれなくなります
ここで役割を果たすのが、臨時災害放送(コミュニティ放送)ではないでしょうか
放送範囲が狭いため、市町村単位よりも地域単位と、より詳細な情報を伝えることが可能となります
※「郡山コミュニティ放送」は、東日本大震災の際も、臨時災害放送局ではなく、コミュニティ放送局として放送を継続したため、「東日本大震災に際し開設された臨時災害放送局の開設状況図」には記載されておりません
富岡町の場合、見知らぬ地域への避難です
どこに、なにがあるのか、わかりませんよね
郡山コミュニティ放送を聴いても、郡山市民はわかっても、地理的にも詳しくない富岡町民にはわかりません
だから、富岡町民に向けたコミュニティ放送が必要になったと考えられます
とみおかさいがいエフエム、開局から7年間放送を続けました
東京電力福島第一原発事故による長期にわたっての避難生活
臨時災害放送局としての目的だけではなく、町民のよりどころになっていたのかもしれません
備えあれば憂いなし
自然災害は、いつ発生するかわかりません
日頃からの備えが大事です
自然災害直後「臨時災害放送局の開設」は、そう簡単にいくとは考えられません
事前に備えが必要と思いますので、開設までに必要な手順を整理してみますね
富岡町では、避難先の郡山市で開設しておりますので、新規で開設した場合で整理してみます
※「ラジオのお話し【臨時災害放送開設の現状】R20」で記載しておりますが、既存のコミュニティ放送を、自然災害時に臨時災害放送として移行した場合、短時間で移行できますが、新規で開設する場合は、時間と費用がかかることを忘れずに
放送免許の手続き
担当:開設する自治体の職員等
自然災害翌日には、放送免許が交付出来るよう、電話等で手続きが出来ます
(必要書類は、放送免許交付後に提出することになります)
手続きに必要な情報は、事前に整理しておいた方が良いようです
放送設備(送信機、送信アンテナ、ミキサー、マイク等)の確保
担当:開設する自治体の職員等
すべての総合通信局(総務省)等に臨時災害放送局用設備を2式ずつ配備しており、臨時災害放送局を開設する地方公共団体等は、当該設備の無償貸与を受けることができることとなっております
しかし、東日本大震災のように、被害が広範囲に及んだ場合、臨時災害放送局を開設したい全ての市町村に対して放送設備を、総合通信局から無償で貸与出来ることができません
また、放送設備を購入する場合も、受注生産である場合が多く、自然災害後にすぐ確保することが難しいため、事前に設備の確保に関する手順・日数・費用等を調べ、フロー図を作成しておき、緊急時の状況に沿った行動がとれるよう準備しておいた方が良いようです
放送を行うスタジオ(演奏所)と電波を発射する送信所の確保
担当:開設する自治体の職員の他、地元の協力者
基本的には、スタジオは市町村役場内(会議室など)、送信所(アンテナ)は屋上と思われます
ただ、場合によってですが、臨時災害放送局はFM波であり、送信出力も低いです
このため、送信アンテナから見渡せる範囲が放送エリアとなりますので、役場より高い建物や、山頂までとは言いませんが、山の中腹などで町を見渡せる場所を事前に調査し、所有者等と合意を取っておいた方が良いと思います
また、何より重要なのが、電力です
電力がなければ、機器は稼働しません
商用電力が確保出来ない場合(停電時)も想定して準備しておいた方が良いようです
運営スタッフの確保
担当:ボランティア等
自治体の職員等は、緊急時の業務に追われて運営までこなす余裕はありません
「兵庫県臨時災害FM局」では、地元でMCなどを行っている人たちがボランティアで放送を行いました
ただ、神戸市のような大都市だからこそ、ボランティアでの運営が出来ました
地方では、運営スタッフの確保が一番難しいと思われます
放送時間帯を含め、どの様に運営スタッフを確保出来るか事前に準備しておいた方が良いようです
臨時災害放送局
開設の手引き
(近畿総合通信局)
https://www.soumu.go.jp/main_content/000936455.pdf
放送局の開設に関して書きましたが、受信出来なければ意味はありません
避難所等には、ラジオを設置し、いつでも受信出来るよう定期的な点検が必要です
📻
各家庭でも1台は必要ですよ
緊急時に備え、一家に一台
で、定期的に点検を!
次回から、能登半島地震発生後の状況について調べて見ます
続きはまた
この記事は、seisが自分なりに調べた内容と、勝手に解釈した内容で記載しております。
内容に誤りや、誤認識等あると思いますので、あくまでも個人的な記事として見ていただくか、間違え等お教えいただければありがたいです。