前回まで3回にわたり、AMラジオ送信施設の移転実績があったのか調べて見ました
今回は、送信出力100kW(大規模)での移転実績があったことから、日本民間放送連盟が作成した「ラジオの意義と課題」(「放送事業の基盤強化に関する検討分科会」説明資料)について再度内容を確認してみます
一般社団法人 日本民間放送連盟が作成した資料
総務省・放送を巡る諸課題に関する検討会
「放送事業の基盤強化に関する検討分科会」
ご説明資料
【ラジオの意義と課題】
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https://www.soumu.go.jp/main_content/000610221.pdf
AM送信所の更新の困難さ(P22~)
資料の内容
AM大規模親局を放送しながら更新することは極めて困難
・AM送信所は効率を高めるため、①送信周波数に対して適切なアンテナ高、②ラジアルアースを敷設する広い敷地、③伝導率の高い敷地(多くの水分を含んだ土地)が必要。
・AM親局の送信柱は、保守することで50年間使用可。それ以降は精密検査で耐用年数を判断している。
・AM親局(100kW級)を放送しながら更新することは同じ敷地内の建替え、別の敷地での新設のいずれも物理的に極めて困難。
・5kW級も困難だが一定の条件が整えば可能な場合がある。中継局(1kw級)は敷地に余裕があれば、同じ敷地内に建替え可。
■ AM親局を放送しながら更新することは、物理的に極めて困難です。
■ ラジオ営業収入が大きく落ち込む中、民放ラジオ事業者の財政力で実施できる設備投資には、限界があります。
■ AM民放事業者は親局等の設備更新が実質的に極めて困難なため、10年先を見越した設備投資計画を策定することができません。
送信施設
親局と中継局の2種類があります
ここで、親局と中継局の違いについて整理します
●親局
放送対象地域ごとの放送系のうち最も中心的な機能を果たす地上基幹放送局
●中継局
地勢的な影響で親局送信所だけでは放送区域をカバーできない時に、親局とは別の場所に設けられる補助的な地上基幹放送局
この資料で気になったところ
「AM大規模親局を放送しながら更新することは極めて困難」で掲載されている写真
→ 親局の更新に関する資料にもかかわらず、中継局の写真が掲載されているのはなぜ
AM送信所は効率を高めるため
①送信周波数に対して適切なアンテナ高
→ 東北1局・関東3局・関西3局で、送信施設の更新(移転)した実績を調べた際、現在の周波数になってから、送信施設が建設されたのは、東北放送のみです
→ 文化放送は、工事着手後に周波数の変更があったため、設計段階では旧周波数でアンテナ高を設計している可能性があると考えられます
上記以外の放送局は、既にアンテナが完成・運用中に周波数の変更が行われております
⇒ 適切なアンテナ高になっていないのではないでしょうか
③伝導率の高い敷地(多くの水分を含んだ土地)が必要
写真が掲載されている送信施設のみでお話しますと
→TBSラジオの送信アンテナは、ボートレース戸田の対岸(荒川)に建設しております
→RKBラジオの送信アンテナは、和白干潟(わじろひがた)内に建設しております
だけど、STVラジオ 北見中継局は
「これ」
⇒ 多くの水分を含んだ土地と言えるかな
確かに冬になれば、一面雪で覆われますが・・・
・AM親局の送信柱は、保守することで50年間使用可。それ以降は精密検査で耐用年数を判断している。
→ ん~、これもね~
東京タワーの年数を考えると、説得力がないですよね
・AM親局(100kW級)を放送しながら更新することは同じ敷地内の建替え、別の敷地での新設のいずれも物理的に極めて困難。
・5kW級も困難だが一定の条件が整えば可能な場合がある。中継局(1kw級)は敷地に余裕があれば、同じ敷地内に建替え可。
⇒結局、実績はあったし・・・
資料もあれこれ書きますと、墓穴を掘ることになりますね
SEIが言いたいのは、民間の放送局といっても、真実を報道する(情報を発信する)報道機関だと思っております
この資料だと、日本民間放送連盟に都合が良いように話を進めようと、事実と異なる内容を含めて記載しているように見えます
民間の放送局は、営利企業です
放送を続けるためには、利益が必要です
ボランティアで放送を続けてほしいと言っておりません
運用に膨大な経費が必要なAM放送より、(AM放送と比べ)少ない経費で放送を維持できるFM放送に切り替えることは仕方ありませんし、このことに対して文句は言えません
なのに、なぜこの様な資料になってしまうのでしょうか
■ ラジオ営業収入が大きく落ち込む中、民放ラジオ事業者の財政力で実施できる設備投資には、限界があります。
ここを強調すれば良いのではないでしょうか
ただねえ、AMラジオ局の今後についてですが
①このまま、AMにて放送を続ける
②FM放送に切り替える
北海道と秋田県のAM放送局は、①を選択しております
それ以外のAM放送局は、②を選択しております
地方の放送局の方が財政は厳しいと思われますが、このままAM放送を続けるのが、地方の放送局です
ワイドFMの電波が届きにくい地域で生活しているリスナーを切り捨ててまで②を選択したAM放送局は、広告収入の問題さえクリア出来るのであれば、今までどおりAM放送を続ける考えがあるのか否か真実を知りたいです
また、日本国もワイドFMの優れた点のみをアピールし、FM放送への切り替えを後押ししているように見えます
行政は、日本国としてAM放送の廃止を考えているように見えますが、補助金等による存続を考えていないのでしょうか
都市部で始まったFM放送波をAM放送の難聴取対策に使用したのが「FM補完放送」です
それがいつの間にか、AM放送を廃止してFM放送に切り替える流れとなり、切り替え後の地方部では難視聴地域・情報弱者が生まれると思われます
この国は、どの様に考えているのでしょうか
2024年2月1日より、34のAMラジオ中継局の運用を一定期間休止し、FM転換を見据えた実証実験を始めました
今回お話しました日本民間放送連盟の資料から考えますと、どの様な試験結果だとしても、FM放送への切り替えが妥当という結論になるのかなぁ~と思うのはSEIだけでしょうか
次回は、少しお話しを変えて「イベント放送」についてお話します
続きはまた
この記事は、SEIが自分なりに調べた内容と、勝手に解釈した内容で記載しております。
内容に誤りや、誤認識等あると思いますので、あくまでも個人的な記事として見ていただくか、間違え等お教えいただければありがたいです。