前回は、AMラジオ放送局における送信アンテナの使用可能年数についてお話しました

 今回は、AMラジオ放送局における送信出力について調べてみます

 

 

 

 

ーー 参考資料 ーー

 

 

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一般社団法人 日本民間放送連盟

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総務省・放送を巡る諸課題に関する検討会

「放送事業の基盤強化に関する検討分科会」ご説明資料

 

ラジオの意義と課題

https://www.soumu.go.jp/main_content/000610221.pdf

 

 

 

 

ーーー P23 ーーー

 

 

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ダイヤグリーンAM放送送信施設、立て替えの課題

 

 AM親局(100kW級)を放送しながら更新することは同じ敷地内の建替え、別の敷地での新設のいずれも物理的に極めて困難。

 5kW級も困難だが一定の条件が整えば可能な場合がある。中継局(1kW級)は敷地に余裕があれば、同じ敷地内に建替え可。

 

 

 

AM放送

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<<初期投資の問題>>

 

送信施設が大規模になってしまう

 ⇒建設費用が膨大になってしまう

 

(補足)

 民放全47社の親局送信所の平均地上高が約110m

 

 

 

 

 

<<運営(運用)費の問題>>

 

資料から送信出力も大規模と思われる

 ⇒とてつもない電力消費量になってしまう

 

(補足)

 FM放送の場合、送信出力を上げても、電波の到達範囲が広くならないため、送信出力の上限が10KWと決まっております

 FM放送に対し、AM放送の場合、送信出力の上限が決まっておらず、出力が高ければより遠くへ電波を送信することが出来ます

 ただ、送信出力を上げれば上げるほど、とてつもない電力消費量となってしまいます

 資料にあります送信出力が100kW級となれば、毎月の電気料金はものすごい金額になると考えられます

 

 

クローバー

 

 

 民間の放送局、経営する側の立場になると、継続は難しいですよね

 

 

 

 ただ、どうしても気になってしまうのが、「AM親局(100kW級)~」「中継局(1kW級)~」の記載

 

 

SEIの解釈

 ①親局は、送信出力が大規模であり、送信施設の移転は「無理」または「難しい」

 ②中継局は、送信出力が小規模であり、送信施設の移転は条件によって「可能」

 ③結果、送信出力が大規模である親局の移転は出来ないため、今後AM放送の継続は困難である

 

 

 

 現在の送信施設からAM放送の電波を送信して、50年以上経過している放送局は多数あると思いますし、既に送信施設の更新を行っている放送局もあると思いますが、日本民間放送連盟がこの様な資料を作成するということは、大多数の放送局が、送信施設の更新時期が来ているものと思われます

 

 

 

 

 では、東北・関東・関西・九州各地方で放送しているAM放送局の送信出力に対し、送信施設の更新は「無理」「可能性は低い」「場合によって可能」と勝手に分類してみます

 

 

 

 

<<SEIの勝手な分類>>

 

 

🗼50kW以上なら大規模

(更新:無理)

 

 

🗼10~50kWなら中規模

(更新:可能性は低い)

 

 

🗼10kW未満なら小規模

(更新:場合によって可能)

 

 

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 東北地方では、宮城県内AM放送局のみ最大20kWと中規模で、青森・秋田・岩手・山形・福島各県内AM放送局は、全て最大5kWの小規模になります

 

 関東地方では、東京都内AM放送局が最大100kW、神奈川県内AM放送局は、最大50kWと大規模で、茨城・栃木各県内AM放送局は、全て最大5kWの小規模になります

 

 関西地方では、大阪府内AM放送局が最大50kWと大規模で、京都・兵庫各県内AM放送局は、全て最大20kWの中規模、和歌山県内AM放送局は、最大5kWの小規模になります

 

 九州地方では、福岡県内AM放送局が最大50kWと大規模で、鹿児島県内AM放送局が最大20kWと中規模、熊本・沖縄各県内AM放送局が最大10kWと中規模、大分・長崎・宮崎各県内AM放送局が最大5kWの小規模、佐賀県内AM放送局が最大1kWと小規模になります

 

 

 都市が大きい場合や、沖縄県のように放送範囲が離島だと、電波の送信出力が大きくなっていることがわかりましたが、ほとんどのAMラジオ放送局が、最大出力が5kWの小規模でした

 

 AM放送の場合、地形は関係ないようですね

 

 

 また、民放AM放送の最大出力が100kWということがわかりました

 この100kWで放送しているのが、東京都内3局のみです

 

 確かに、この3局で製作されているラジオ番組が、全国のラジオ局を通じで放送されておりますので、ラジオ局の代表と言えますね

 送信施設に関しましても、大都市圏で人口密度が密集していることから、送信施設の建設場所を探すのが困難なのも事実です

 ただ、送信出力100kW級が、都内AM放送局3局のみにもかかわらず、まるで全国のAM放送局も同様に、放送を維持しながら送信施設の建て替え・新設は物理的に困難と読めてしまう資料はいかがなものかと思ってしまいます

 

 

 次回、実際に放送をしながらの更新実績はあるか調べることにします

 

 

 

 

 

 

続きはまたバイバイ

 

 

メモメモメモメモメモ

 この記事は、SEIが自分なりに調べた内容と、勝手に解釈した内容で記載しております。

 内容に誤りや、誤認識等あると思いますので、あくまでも個人的な記事として見ていただくか、間違え等お教えいただければありがたいです。

メモメモメモメモメモ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーー 付録 ーー

 

 

 

 

 せっかく調べたので、全国のAM放送局を送信出力ごとにまとめてみました

 

 

 

送信出力100kW

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TBSラジオ/954kHz/東京

文化放送/1134kHz/東京

ニッポン放送/1242kHz/東京

 

 

 

送信出力50kW

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HBCラジオ/1287kHz/札幌

STVラジオ/1440kHz/札幌

ラジオ日本/1422kHz/横浜

東海ラジオ/1332kHz/名古屋

CBCラジオ/1053kHz/名古屋

ラジオ大阪/1314kHz/大阪

ABCラジオ/1008kHz/大阪

MBSラジオ/1179kHz/大阪

RKBラジオ/1278kHz/福岡

KBCラジオ/1413kHz/福岡

 

 

 

送信出力20kW

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東北放送/1260kHz/仙台

KBS京都/1143kHz/京都

ラジオ関西/558kHz/神戸

中国放送/1350kHz/広島

南日本放送/1107kHz/鹿児島

 

 

 

送信出力10kW

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静岡放送/1404kHz/静岡

山陽放送/1494kHz/岡山

熊本放送/1197kHz/熊本

琉球放送/738kHz/那覇

ラジオ沖縄/864kHz/那覇

 

 

 

送信出力5kW

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青森放送/1233kHz/青森

秋田放送/936kHz/秋田

IBC岩手放送/684kHz/盛岡

山形放送/918kHz/山形

ラジオ福島/1098kHz/郡山

※(ラジオ福島の親局/1458kHz/福島)

茨城放送/1197kHz/水戸

栃木放送/1530kHz/宇都宮

新潟放送/1116kHz/新潟

信越放送/1098kHz/長野

YBSラジオ/765kHz/甲府

岐阜ラジオ/1431kHz/岐阜

北日本放送/738kHz/富山

北陸放送/1107kHz/金沢

福井放送/864kHz/福井

和歌山放送/1431kHz/和歌山

山陰放送/900kHz/米子

山口放送/765kHz/(旧)徳山

四国放送/1269kHz/徳島

西日本放送/1449kHz/高松

南海放送/1116kHz/松山

高知放送/900kHz/高知

大分放送/1098kHz/大分

長崎放送/1233kHz/長崎

宮崎放送/936kHz/宮崎

 

 

※ラジオ福島は、国内の民放AM局では唯一、親局(福島 1kW)より子局(郡山 5kW)の送信出力が大きい。