カール・ベーム指揮 ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団 1940年録音
一人暮らしは孤独ではありません。
家族の繋がりが途絶えたとき
人との繋がりが途絶えたとき
社会とのつながりが途絶えたとき
「私はここにいます」と伝える相手が居なくなったとき
そんなときに
心の隙間は「孤独感」で埋まります。
高齢者専用マンションでひとり暮らしをしている年長の友人がいます。
ときどき お電話してみます。
昨夜も
話草臥れるまで、お喋りを聞くつもりで、夜の8時半にお電話しました。
「お元気?」から始まって
とりとめもなく話が続いて気がつけば10時!
友人は
歌が大好きで、レース編みが趣味。
モチーフを35枚つなげた、こんなに大きなテーブルクロスを送ってくださいました。
「一人でカラオケ行っちゃダメですか?って、訊いたらダメって。」
「夕飯のとき、食堂ではお喋りもダメっていうけど、ちょっとだけお友達と食後のお喋りをしてくるの。でも、食事が終わったら、すぐ部屋にひき上げるようにって云われているから…。」
「部屋でひとりでテレビを見ながら、歌いながら、レース編みをしているの。(笑)」
「こどもの頃ね、スキー履いて通学していたのよ。」
『あ、歩くスキーでしょ?
あれは踵が着いてないから、私は苦手だわ。』と私。
「私たちはあれで慣れてたから、
かえって踵がついている靴は怖くて…、
新しいスキー靴は骨折しそうで、怖くて履けなかった!」
『そ!スキー靴が新しくなって、
複雑骨折が多くなったんですって!』
「そうでしょ⁈」
「私ね、若い時、力持ちだったから、
60㌔の樽を担いで、3階まで運んでいて、男の人たちに冷やかされたわ!(笑)」
『えー!60㌔っていったら、男性を一人担いでいるようなものよねぇ!!!(笑)』
「もうダメだねぇ。トシだから~」
『チョチョチョットまってぇ、いまそれやられたら、みんなひっくりかえっちゃうわぁ!(笑)』
「私ね、蛇が大嫌いなのよ!」
『私も~、蛇におっかけられたら、直角に曲がればいいんですってね!』
「そ!私もそう聞いたけど、もう恐ろしくて~!」
「それでね、この間、食堂で鰻だったんだけど、
鰻は食べられないから、
タレだけかけてもらおうかなぁ…と思っていたら、
たまたま、でかけなければならない用事ができて、
食べないで済んだのぉ!(笑)
うどんもダメなのよ、私…。
昔、蟯虫とかあったでしょ?あんなの思い出しちゃってぇ…」
『そうそう!サナダムシとかもいたわよねぇ…』
「いたいた!(笑)
とにかく長いにょろにょろはダメ!
お魚の鱧(はも)もダメなの。」
『えー!そうなのぉ、美味しいのに~!』
「みんな、そう云うんだよねぇ。
鰻のときもそう云われたぁ…(笑)」
本当にもうとりとめもない話が次から次と…
ふと時計を見て…
『あら、もうこんな時間!楽しかったわねぇ♪またねぇ!』
「もうこうなったら、120歳まで生きてやりましょーっ!」
『そうそう! 120歳までねぇーっ!』
おやすみなさ~い∼♫
彼女は近所に姉妹がいらっしゃるので、ときどきお会いになるのだどか。
「でも、もう、いつ死んでもいいと思ってる…。」って。
120歳までって、云ってるそばからぁ…
趣味もなく
親戚づきあいもなく
コロナ禍で頼みの綱のオンラインも利用できず、
テレビだけがお友達の
ひとり閉じこもっている高齢者を思うと…
胸の塞がる思いがします。
こどもの頃歌った歌でも一緒に歌えたら…