Hさんの思い出
『思い出のおばさん達』
西線19条の東角にリンゴ園があり、そこのオバサンは家の中に何匹もの兎を放し飼いにしていた。
私はそのオバサンが大好きで、いつも遊びに行った。
又、学校帰りに豆腐屋さんの前を通ると「遊んでいきな」と、そこのオバサンが声を掛けてくれた。
大きなブルドッグが繋がれていて、懐っこく飛びついて来るのだけど、怖いから、端を通ってお店に入った。
グスベリを植えていた家があった。
垣根越しに庭の手入れをしているオバサンに頭を下げていたら、グスベリの実が色づくと、門を開けてくれ、「取っていきな」と、紙袋を渡してくれた。
農家のオバサンから桃色のアイスキャンディーを貰ったこともあった。
当時は珍しい物だった。
そして今
何故か、出掛ける度に、色んなオバサンから声を掛けられる。
殆んどは、道を尋ねられたり、意味も無い会話だったりだが・・・。
小さなお子さんを連れたおばあさんやおかあさんには、こちらから声を掛ける。
エレベーターが格好の会話場所だ。
私が住むマンションにも、結構子どもがいる。
マンションでは付合いが無いと聞いていたので、入居当初から挨拶をするように心掛けた。
引越した当時の子どもはもう大学生。
そして、次々生まれ成長する子とも達。
今は、後ろからでも声を掛けてくれる。
その子ども達を通し、親達とも話が出来る。
ちょっとした相談をもちかけられることもある。
新築のマンションだった所為かこんな相談もあった。
「夜、首元が寒くて寝られないの!」
『バスタオルを首に巻いてみたら…』と私。
「越して来たばかりだから、友達がいなくて…どうしたらともだちが出来るかしら…」
『車の移動販売が定期的に来るんだけど、そこに人が集まるから、お買い物しながら気軽にお喋りができる筈、おともだちも出来ると思う』と私。
そんなちょっとした相談に応えただけなのに、その方は私のことを「マンションで一番好きなおばあちゃん」と云っていたと伝え聞いた。
又聞きなので、お世辞じゃないと思えて無性に嬉しい。
記H