今住んでいるところは、ホトトギスの声が聞こえる。
はじめてホトトギスに気がついたのは、新婚時代に住んだ茨城県つくば市。
まだつくばエクスプレスが開業していなかったころで、中心部からかなり離れたところに住んでいた。
東京からの高速バスが頻繁に出ているのに、地元の路線バスは本数がぐっと少なかった。
「つくばセンター発 東京行き」のバスは、高速道路に入る前に、何箇所か停留所がある。
そのうちのひとつから、歩いてすぐのところに住んだ。
2キロほど先の「つくばセンター」へ行くより、数十キロ離れた上野や東京へ行くバスのほうが便利だった。
次に住んだ土浦市では、ホトトギスの声を聞いたかどうか、記憶がない。
東京都新宿区では、もちろん、聞こえなかった。
今住んでいるところから歩いて10分ほどの実家に住んでいた頃、ワタシは、ホトトギスの声を意識したことがなかった。
混み合った団地だから、おそらく、聞こえないのだろう。
単に「環境」の問題だとは思うが。
こうして振り返ってみると、心穏やかにのんびり暮らしているときはそばにホトトギスがいて、そうでないときはホトトギスと縁がなかった、という気がする。
ところで、「ほととぎす」の当て字は、呆れるほど多い。
試みに『漢検漢字辞典』の熟字訓・当て字索引から拾ってみると。
郭公、郭公花、霍公鳥、子規、時鳥、蜀魂、蜀魄、杜鵑、杜宇、杜鵑草、沓手鳥、不如帰、油点草
中には、鳥だけでなく、植物の「ほととぎす」も混ざっているみたいだけど。
こんなにあるんだ!
さらに、黄昏鳥など、その他の別名もたくさんあるみたい。
みんな(って誰?)、どんだけ「ほととぎす」好きなんだっ!
ところで、つくば市ではカッコウの声も聞こえたが、こちらでは聞こえない。
カッコウとホトトギスは、遠くから見ると、ちょっと似ている。
前述の熟字訓・当て字索引に、「かっこう」は出ていない。
郭公という表記は、「かっこう」「ほととぎす」どちらでも正解らしい。
素直に読めば「かっこう」なので、これは当て字ではないのでしょうな。
表記のバリエーションが少ない。
ということは、ホトトギスと比べて、カッコウは、あまり愛されていないのかしらん。
声はステキだけど、托卵するし、あんまりいいイメージの鳥ではないかもしれん。
…と書いたところで疑問をいだき、ちょいと調べてみたところ、ホトトギスも托卵するというではないか。
野生って、きびしいね。
それに比べると、人間はあまい。
いろんな意味で。