自腹、紙、新刊(リアル)本
 

 

 

ふらっと立ち寄った大型書店で目にとまり、パラパラっと中を見て、値段も見ずに衝動買いグラサン

レジで税込み3000円以上を請求されて、仰天した。

そりゃあそうだ、東京大学出版会の「学術書」だもん。

 

5000円札の新しい顔になることが決まっている津田梅子。

一般的には、日本初の女子留学生で最年少だったことや、のちの津田塾大学である女子英学塾の創立者であることなどが、よく知られている。

 

いったん帰国した後に再度留学していること。

そのときに生物学を学び、研究者としての将来を嘱望されたこと。

英語だけでなく、女性に幅広い教養を授ける学校を作りたかったこと。

彼女がつくった学校は、戦前、敵国語である英語が目の敵にされた際に「理科」を作り、それがのちの数学科につながったこと。

 

こうしたことは津田塾大学で折りに触れ耳にしたけれど、裏付けとなる史料とともにまとめて精読すると、「点」だったそれぞれのエピソードが、一本の「線」に結ばれた気がする。

 

津田梅子には、「教育を通して日本女性の意識変革と社会的地位の向上をめざしながらも、天皇制国家や階級社会には疑念をもたなかった」(p.115)保守性がある、と山川菊栄は指摘している。

「留学」という形で国家の近代化政策に関与させられた梅子は、体制側のエリートであった、とも。

 

この学校からはときおり、ラジカルな傾向の女性が飛び出すけれど、全体としては真面目で保守的な傾向があると感じていた。

それは、創立者の「影」を残したものだったのかもしれない。
ただし、ワタシの述懐は30年以上前の話ではあるけれど。
 
「リケジョ」だった梅子。
そういえばワタシの時代、英文学科や国際関係学科でも、歴史の代わりに数学を選択して受験することができた。
 
「女性に本格的な学問は不要」と言われてきた昔。
今、「時代」は本当に変わったのだろうか?
 
「女の子だから」と。
本当にやりたいこと、学びたいことを、あたかも自分で選んだかのように諦めて、別の道を歩む少女は、いなくなっただろうか?
 
男の子だって、実は同じなのでは?と思う今日このごろ。
「男なんだから」と、興味があることを諦めさせられる子は、意外と多いのではなかろうか。
 
この本は、しばらく手元に置いて、読み返そうかと思う。
 
このところ、「図書館から借りた本」があるのに、「本の衝動買い」も多い。
そういえば昔、定期テスト前にやたらと文庫本を買うクセがあったな。
今は、漢検前なんだけど。