今年のはじめ、NHKテレビで「心の傷を癒やすということ」というドラマが放映されました。
https://www.nhk.or.jp/drama/dodra/kokoro/
阪神・淡路大震災の直後、自らも被災しながら、苦しむ人々に寄り添い、心のケアを続けた若い精神科医の物語です。
モデルとなった医師の著作があることは知っていましたが、ほかのことへ目が向き続けて、すぐには手にとりませんでした。
それがどうしたことか、今朝、kindleストアの「あなたへのおすすめ」にこの本が「ポコッ」と現れて
一気に読んでしまいました
震災とパンデミック、異なる点もありますが、今の状況と重なるところがあって、とても参考になります。
震災の直後、復興の真っ最中、日常を取り戻す人が増える中でごく一部の人が取り残された状態。
それぞれの段階で、違う問題が見えてくる。
東日本大震災のときもそうだったけれど、「人と人とのつながり」の大切さが強調され、その「美しさ」が讃えられたのは、「直後」の話。
みんなが同じように苦しんでいるとき、人は、案外、優しくなれるもののようだ。
けれど、それが長期化して、お互いの嫌なところや、復興度合いの格差が現れてくると、醜さが顕になる。
それと同調するように、心の傷に苦しむ人も増えてくる。
「直後」は、自分の傷にも気づかないものらしい。じわじわと、影響が現れる。
肉体的な弱さと違って、「心」を病んでいることは傍からはわかりにくい。
それゆえ、心無い人によって、容易に傷つけられる。
復興には「祭り」のような効果があるらしい。不安定な気持ちから、躁状態になる人も増えるとか。
ちょっと、わかるような気がする。私も、トラブルが直面すると、妙にハイテンションになる傾向がある。
震災をきっかけに、精神科を受診する人も多かったそうだ。
もともと、ギリギリで持ちこたえていたのが、震災をきっかけに、深刻化するのだとか。
これからの世の中を考えるうえで、大変、興味深い内容でした。
ドラマに描かれたように、筆者は非常に精力的な仕事をしましたが、若くして亡くなりました。
筆者による「あとがき」は1996年、解説は2001年の秋。
阪神・淡路大震災のとき、「心のケア」の大切さは、当初、医療関係者の間でもあまり理解されていなかったそうです。
今、NHKテレビをつけていると、画面の上のほうに、「心のケア」の相談先が案内されます。
先人の努力によって、時代は、少しずつ変わっていくんですね