今回は、4日間の滞在。



田舎に戻る飛行機は夕方。

最後の一日まで桜の名所を巡るつもりで

その便にしたのですが、

なんせ東京が開花宣言をしたのは

帰る前日。

東京の桜は、来年に持ち越し案件!

…と早々に諦めていた私は



最後までデパートにいました笑




ゆっくりランチをして、

屋上庭園に座ってみたりなんかして。

それくらい、時間がありすぎて

デパートの上から下まで

歩き回ったんです笑


デパートの屋上庭園で
忘れていたことを思い出しました。

この日ここに来なければ、
一生思い出すことはなかったかも。


ガーベラガーベラガーベラガーベラガーベラガーベラガーベラガーベラガーベラガーベラガーベラガーベラガーベラ


随分昔の話。
私も、東京に住んでいたことがあります。
前夫の転勤で
大阪から東京に来たのですが、
東京暮らしは
私が来た当初考えていたより
長くはありませんでした。



なんていうか、うーん…
もっと長くいるつもりだったし、
こういう去り方をするとは
思ってもいなかった、
といったところでしょうか笑
状況はご想像にお任せしますてへぺろ



故郷に戻る、東京最後の日。
どこのデパートだったかは
覚えていないけど、
小田急沿線に住んでいたので
新宿だったような気がします。
住んでいた賃貸マンションを引き払った後
私は、この日と同じように
故郷に帰る便まで時間を潰すために
デパートに来ていたのですが、
お買い物をする気分でもなく
屋上でボーッとベンチに座っていました。


そこに偶然、夫の上司が来てね。
本当に、たまたま。
その頃いた支社の、すごーく偉い方。
その方も大阪から栄転で東京に来たのですが
関西にいた頃から
夫はその方に可愛がっていただいていて。
支社でいちばん偉いその方の
鶴の一声があって、
夫を「東京に連れて行く」と言ったから、
私達夫婦は、東京に来た次第で。


転勤になったばかりの頃
休日、上司のお宅に招待をされて
夫婦で伺ったこともありました。
口がポカンと開いちゃうような豪邸に
夫と私は菓子折を持って行って、
ご夫人の手料理をごちそうになったの。
上司は、
夫に目をかけてくださっていたようでした。


デパートの屋上でばったり会った時の私は、
「東京なんて大嫌い。」
「こんなことになるなら、
なんで呼んだの!」
「来た意味、あった?」
「二度と来るもんか!」
という気持ち。
そういう気持ちになる
ある出来事、状況があって
それを上司もご存知で。


上司は、おそらく
挨拶回りか何かで外に出て、
たぶん…たぶんだけど、
そうやってデパートの屋上で
サボることが
たまにはあったのだと思います。


慣れたように上がってきて、
私の顔を見た瞬間
「あっ…」という困惑した表情をしたから。



それまでは、夫の上司であるその方に
お中元やお歳暮も欠かさず贈り、
お宅に招かれた時もニコニコと
“良い奥さん”を務めてきた私が、
「今から田舎に帰るんですよ、私。」
とチラリと一瞥するような顔で
上司を見た瞬間


その方は、
「ごめんな・・・」
とだけ言って、黙りこんで。


私は、
立ち尽くす上司にサッと背を向け
ベンチに座り直して、
デパートの屋上から見える小さな青空を
「は〜っ…」と溜め息をつきながら
見上げて。
その後、
上司がどこに行ったのかも知らない。
もう私は、その人のことを
見もしなかったから。




それが、私の東京最後の日。
都会らしい乾いた空気の
とてもお天気の良い日だった。
高いビルの中を吹く強い風が
私の長い髪を乱したけれど、
私は直しもせず
ただ、座っていたことを覚えています。


東京を去ったのは
夫の責任ではないし、
上司が何かをしたわけでもない、
もちろん私が悪いわけでもない。
今となっては、
「そういう運命」「時代」としか
言い様がないことなのだけど。


それは
息子のいる東京ではなくて、
私がいた東京。


ガーベラガーベラガーベラガーベラガーベラガーベラガーベラガーベラガーベラガーベラガーベラガーベラガーベラ


高島屋の屋上庭園には、
ネクタイを少し緩めた
たくさんのサラリーマンや
小さいお子さん連れのママがいて
笑い声が聞こえていましたが、


私は、
「あっ、そういえば・・・
あの日も飛行機に乗るまで
デパートの屋上にいたわ、私」
と、忘れていたことを思い出していました。


今は、東京大好きです笑
息子がいるから。
息子が頑張る街だから。


また来ます、東京。





帰ると、故郷の桜は満開でした。