健康診断ってね、義務なんですよ。




事業者は、

労働安全衛生法

第66条に基づき、

労働者に対して、

医師による健康診断を

実施しなければ ならない。 

また、労働者は、

事業者が行う健康診断を

受けなければならない。



いや、受けなきゃいけないのは

薄々知ってたんだけどね。




私の勤務先では、

毎年7〜9月に実施しているんだけど、

その間いつでも受けられるのではなくて。

社員数が多いもんだから

部署、課ごとに割り振られて

「あなた、何月何日だからね!」っていう

赤紙みたいな強制力のある通達が

保健部署から来るの。




でも、私ね。

ほら、あれよ。

失念ってやつ?

そう、社会人がうっかり忘れてた時に

かしこまって使う、“失念”よ。

まあ、簡単に言うと

夏休みの予定のことばかり考えてたら

頭の中から健康診断のことが

パージしちゃってた

…ってだけなんだけど



12月、

今度は年末年始のことばかり考えてた私に

上司が

「健康診断受けてないじゃないか!ムキー



保健部署から、直属の上司に

逃亡犯リストみたいなのが来たらしくて

「うちの課は・・・あっ!岡さん!ムカムカ

ってなって。




いや、思い出したとこなんですよ〜

夏の初めまで覚えてたのに、

次思い出した時には冬になっちゃってて〜

あれ〜、てへ〜

あい、受けます受けます、受けますってば

で、予備日いつ?




「1月5日。よろしくね。」




へ?待って。

クリスマス、

いや、うちはお母さんの誕生日が

クリスマス直前にあるから、

もう12月下旬から

連日連夜パーリーになるんです。



で、なし崩し的に

そのままダダーッと続けて

年末年始美味しいもの食べまくって、

もちろんお酒も飲むんですけど、

塩分も糖もとりまくった状態で、

健診行けってか?

体重どんなことになってると思うの。

尿検査とかヤバいんじゃ…




事業者は、

労働安全衛生法

第66条に基づき、

労働者に対して、

医師による健康診断を

実施しなければ ならない。 

また、労働者は、

事業者が行う健康診断を

受けなければならない。




ねえ、それ、今年パスとか、あり?

行かなかったら、どうなります?




「社長が国に怒られます。」




話したこともない社長が?

私が健康診断ブッチしたことで、

見たこともない社員のために

厚労省に怒られる?

あっそう。じゃあ、しかたないね。

わかった、受けてあげる。




ということで、

三が日も数の子や海老や酒を控えめにし、

3日の晩ご飯が終わるやいなや

試合前のボクサーみたいな

ほぼ絶食に近い、振り切ったことをし

満を持して挑んだ健康診断。




事前に渡された問診票は、

チェックを入れるだけなんだけど

前年度の数値が既に横に印字されていて

「変わったの?!

あんた、この数値を維持してないの?!」

とでも言いたげな圧がかかってる。




私の職場の健康診断、

すごく怖いの。



引っかかると、

体育館裏でシメられる感じで

産業医や保健師に呼び出され、

コンコンと説教を食らう。



私はさ、

体重もコツコツと

地道に着実に増やしてんだけどー、

匠の技で、

ビミョ〜〜〜な増え方にとどまらせてるんで

そこんとこは回避してきたわけ。

0.2kg+とかね、

翌年0.1kg減らしといて、

翌々年0.3kg増やすとかねドクロ

「要指導」と「合格」ギリギリの

国境紛争のラインで生き延びてきたの。




ただ、

重度の貧血を

「若い頃からだし〜」と放置していたら

ある年、保健師に

膝と膝を突き合わせて

「ちょっと今年は話し合いましょうよプンプン

とか言われて、



いや、前からなんで〜

慣れてるんで〜

…って言ったんだけど、



例えるなら、

部活やめます、って先輩に言った時の感じ?

「もうちょっとさ、頑張ってみようよ!」

「騙されたと思って、やってみ?

え!こんなに違うの?!

私今まで何してたの?!

…ってなるから。」

って治療するよう言われて。



で、その後、

子宮腺筋症で大量出血をすることから

閉経までは貧血の薬を飲んで

やり過ごしていこう…ってことになって

鉄剤は欠かさず飲んでいるので、

血色素量は、

7〜8の、ドラキュラレベルから

9〜10の、女性ならまあ、これくらいは…

という数値にまで改善したの。



そうすると、

匠の技でうまくごまかせていた

体重の増加が

途端に浮き彫りになるじゃん?

目立っちゃうじゃん?



体育館裏に呼び出されたくないじゃん?

部活やめる中学生みたいに

先輩にシメられたくないじゃん?

・・・50歳も過ぎて。




で、試合前のボクサー(絶食は1日だけ)

行ったの。健康診断に。




腹囲、セーフ。

1mmも増えてない。

ガードルなんか履いても

「おへそ出して」って言われるから

履いてもいかなかったけど、

明らかに酸素足りてないくらいの

青ざめた顔色になるまで、

息を止めて、お腹をひっこめたら、

奇跡の、去年とまったく同じ数値!




次、体重。

再び、奇跡がおきた。

去年とまったく同じ数値!

0.01kgも増えてなーい!100点

数の子や海老や酒は控えたけど、

実はケーキは食べまくってたの。

てへ。ぺろ。

お母さんのお誕生日にケーキ食べて、

クリスマスにもケーキ食べて、

元日の甥っ子の誕生日にもケーキ食べてて。

だから、

セーフ判定を受けた途端

一刻も早く体重計を降りるべく

スタッ!!と軽やかに降りた。

もう、嬉しくて嬉しくて、

地上に降り立った瞬間

4回転を決めたネイサン・チェンのように

思わずガッツポーズをしてた。

なんなら、キス・アンド・クライで

ぬいぐるみを抱いて

ファンの方々に笑いかける自分まで

脳内に見えていた。

そのままステップシークエンスで、

聴力検査に行こうとしたよね。





「増えてますね。」




は?何が?

何言ってんの、0.01kgも増えてないよ?

見た?ちゃんと見た?

係員、数字読めんのか?

くもん行け。小1からやり直せ。




自信満々で、

聴力検査へと去ろうとする私に

係員は、

何かがプリントされた紙を渡してきた。

「BMIが増えてますよ。」

私は聴力検査を目前にして、

自分の聴力を疑った。

は?

だーかーらー、体重は0.01kgも

増やしてないでしょーが!!




係員は、

聴力もあやしげなBBAに

半笑いで一枚の紙を握らせた。

体重と同時に身長も測れて、

おまけにBMIまで自動計算される

最新機器からウィーン…って出る紙を。




BMI???




身長が

縮んでた。

お婆ちゃん化してた。

ええっ?!(⁠‘⁠◉⁠⌓⁠◉⁠’⁠)って

声が出るくらい、小人化してた。




私、155cmあったの。

でも、

ここ数年154.5cmとか154.2cmとか

どうにも155cmに乗らなくなってはいて、

でも、まあ、誤差の範囲かな〜なんて

大して気にしてなかったら、



今年は153cmになってて。

ステップシークエンスなんて

踏んでる場合じゃなかった。

舞の海の新弟子検査みたいに、

頭にコブを仕込んでおくべきだった。

このままでは数年後には

ミニモニ。として

デビューしなくてはいけなくなる。




噂には聞いてたけど、

年をとると本当に身長縮むんだね・・・




健康診断終わってすぐ早退して、
夕飯まで我慢できなくて
帰りにパスタわしゃわしゃ食べました。