人の記憶って、不思議。
7年間離れて暮らしていた息子の
顔、姿、声、仕草。
どんなにどんなに息子を想って暮らしていても
ふと浮かぶ息子の顔は
一時停止の画面のようでした。
姿、背格好は、
地元を出た18歳の時の記憶が
強く残っていたのか、
会う度、思い出す度に、
背が高くなっている気がしていました。
時々会っているのに
耳に残る声は、電話の声でした。
一ヶ月と10日間、
毎日毎日、
息子の顔、姿、声、仕草を
一秒を惜しんで見ていたら
記憶の中の息子は、
セピア色から鮮やかなカラー画像に変わり、
邪魔なくらいにデカい身体の笑、
残像がまだ目の前に残り、
もういないのに
耳元で呼ばれたような大きな声がした気がして
ハッと目が覚めたり、
家の中、
私の目の奥、
耳元、
そこらじゅうに息子がいるみたいです。
記憶の中の息子が
リアルな、3D画像に変わりました笑
でも、いない。
いなくなっちゃった。
一ヶ月と10日間、
あんなに近くに、目の前に、触れもしたのに、
パッと消えちゃった。
次男の部屋を
散らかしていた荷物も、
一つ残らずなくなっていて
幻を見ていたような気さえします。
年寄りの贅沢というか、
独り身の自由というか、笑
私、
眠る時間は大事にしようと思っているので、
小柄オバサンなのに
ベッドはダブルベッドで、
枕もちょっと高価なホテルピローを
使っているんですけど、
一ヶ月と10日間
「お！これ、イイじゃん」とか言って
長男に枕を取られていたのwww
私が仕事に行って、留守にしている間は
私の部屋でノートパソコンを広げて
作業をしていたし、
私のベッドでお布団をぐちゃぐちゃにして
お昼寝していたりもしたし、
息子がいつも持ち歩いていた
お気に入りの保温保冷タンブラーが
私の机にあったり、
玄関は、
28cmのでっかいスニーカーやcrocsが増えて
いっぱいになっていたり、
前のアパートで使い残して持ち帰った
クナイプの入浴剤の匂いが
お風呂に残っていたり、
家の中にいっぱい
“息子”があったのに、
ぜーんぶなくなって
一ヶ月と10日前に戻っていました。
“残骸”みたいなものを、
結構残していって、
「もう！片付けずに行って！
」
ってなるんじゃないかな…と思っていたのに
朝は、バタバタしていて
気づかなかった。
夜、見たら
なーんにもなくなってました。
私のベッドにも、枕は戻っていました。
本当に、夢を見ていたみたい。
幻かな。
私は、
長男がいた一ヶ月と10日間
余っていた有給休暇を使いまくって
あんまり仕事にも行かなかったんですけど、
来週からは、これまでどおり
出勤します。
たぶん、明日になったら、また
夕方帰ってきて
次男の部屋を開けて、
「おかえり！遅かったね！」と笑う
長男の姿がないことを確認して、
それを何日も何日も繰り返して
やっと、
慣れるんだと思います。
今夜から、枕があります笑
この枕を使って今夜寝たら、
一ヶ月と10日間が
ますます夢の中の出来事のように
思えそうです。