2020年11月。
私としては、この500日戦争が
終わりを迎えることになる予感は
まったくなかったです。
すべき始末を終わらせ、
最低限の温情の仕送り内で
おとなしく暮らしている、
そんな日々では
会いに行かなきゃ
探さなきゃ
…という理由になる大義名分も見つからず
淡々と時間だけが過ぎていました。
振り上げた拳を
下ろすことができないでいるのも
わかってはいましたが、
何かのきっかけがなければ
大きな進展は望めそうになく
それをどういう形でセッティングすべきか
…ということまでは
まだ考えてはいませんでしたが
生かさず殺さずの暮らしを
長く続けさせることは、
進展ではなく後退に向かう気がしたので
どうしよう・・・
何かおこらなければいいけど・・・
と
不安がむくむくと心の中で大きくなっていき
秋口からは、
長男のことばかり考えていました。
何か、ミョーな予感もありました。
いいことか、悪いことかも、わからない
でも、コツ…コツ…コツ…と
足音が近づいてきているような、
え?誰?何?
みたいな、
春の訪れを感じる、とか
秋の気配を感じる、とか
夏が近い匂いがする、とか
そんなのに似た感じかな
・・・ん?
何かがありそうな予感・・・
っていう。
でもね、こういうのは、
だいたい良くないことがおきる勘でしょ?笑
イイことがおきる、なんて直感
あったことないんだもん笑
あー、絶対あの子関連だよ・・・
何かおきる、なんて
あの子関連しかないもん・・・
あいつ、何かやらかすに決まってる・・・
事件?事故?
それだけはイヤだわ・・・
それじゃなけりゃ、まだいいか・・・
次はなんだろ・・・
お金のトラブルとかもめんどくさいなぁ・・・
大学辞めてたとか、そういうのも困るわ・・・
なーんて思っていた
秋も深まってきたある日。
2020年11月。朝。
出勤して数十分。
私のデスクに
一本の内線電話が入ります。
課への電話ではなく、
私指定の電話であることは
着信音でわかり、
「ん?珍しいな、ダイレクトに私宛…って。」
と不思議には思いました。
岡さん?
岡サエコさんで間違いないですね?
◯◯部です。←保険証とかの手続きをする総務事務
今から言うところに
大至急電話をしてください。
こちらにかかってきて、
伝言を承りました。
電話番号は、◯◯◯―◯◯◯―0110です。
0110?
市外局番は、長男のいる街のもの。
あー・・・
あー・・・
あー・・・
警察か。
何かやらかしたか?
・・・いや、違う。
なんで、警察はあの部署にかけたか。
保険証を見たからだ。
そうじゃなければ、
代表電話や私のいる課の直通電話に
かけるはずだから。
私の長男が、長男の口で、
私の職場を話したならば、
◯◯部□□課にいます、と言えるはず。
イマドキ、ネットで検索したら
直通電話の番号も公開されている。
度忘れしていたとしても、
社名は言えるはずだから、
代表電話にかけるはず。
・・・息子が自分の口で話せる状況には
なかったということになる。
保険証、ということは
身元確認ができる持ち物を
警察が見たということ。
あー・・・
これが終わり?
こんな形で終わるの?
だったら終わらなくても結構。
生きてさえいれば、
長男がこのまま私に会おうとしなくたって
かまわない。
ずっと、絶縁したような状態でも。
知らないどこかの街でも
生きているなら、それで。
私の性格上のことなのか、
私は動転することなく、
メモとペンとスマホを持ち、
フロアから出て、
一人になれるところから
0110のつくところに電話をしました。
この番号だけは、イヤだった。
まだ、病院の方がマシ。
命はある…ってことだもの。
これが、家出から480日あたり。
2020年11月半ばにおきたことで、
警察からの電話にも平静を保っていた私も
この後の急展開にパニックになります笑