昔、私が子どもの頃、毎年冬になると親がみかんを大きな箱で買っていた。


その頃住んでいた家の、寒い部屋の隅に、みかんの箱を置いていた。

みかんを部屋に取りに行き、柔らかくて美味しそうなのを選んで食べていたから、だんだん外れっぽいみかんばかりが残った。


その頃住んでいた家は、その後かなりたってから取り壊されたらしく、

今はない。


急な坂の上にあり、小学校も今振り返っても信じられないくらい遠かった。

家からの見晴らしがよくて、街を一望できた。

その頃の私は、景色なんて多分あまり興味なかったと思うけど。


みかんの皮をむきながら、昔の家のことを思い出した。