それから何回かマックに通うようになった。

前からたまに健太と行っていたし店の雰囲気も慣れていたせいかあまり緊張もせずに行けていた。



何回か会っていくうちに僕らは友達になっていた。



ケータイ番号の交換もした。
健太が上手にさりげなく自然に聞き出してくれた。












『えっ?じゃあこのサイト知らないの?』


『えぇ~知らな~い。』


『かなりいいよ。教えたげる。って俺昨日新しいの始めたから消したんだ…。アッ!慎二ある?』











『…あるけど。』


『えぇ~教えてよ~。』








『…いいよ。』














とゆう感じで健太がやってくれたのだ。


まぁ別に聞いてくれとは言ってないし、あいつの方から面白がってやったことだから俺としては気が楽だった。


ケドこれも健太の優しさだったりして正直『ありがとう』って気持ちだった。












そんなんである日、俺と健太とあの女とその友達の4人で映画を見に行くことになった。





ちなみにあの女、名前は『幸子』という。


俺達が通う学校の近くにある高校の同い年。部活などには入っておらずバイトばかりしているらしい。
























『ツカ今何やってんのかな?』

『満月の~…何とかっての面白そうだと思うよ!』


『あぁあのCMでやってる!』










『…あの女の子が死ぬやつ?私あれ嫌だな…。…泣いちゃうかも。』


『えっ!!それならなおさら行かなきゃじゃん!さっちゃんの泣くとこ見たい!!よし決定!!それいこうぜ!』















気のせいか、その時彼女は一瞬ほんの一瞬、映画の題名が出た一瞬、ビックリしたあとに寂しげな顔をしたように見えた。今まで一度も見たことのない。
































『ちょ~微妙~だったな~。もっと面白いと思ったし。…ケドさっちゃん、そんなに泣けた?』


幸子は下を向いたまま何も言わず、ただハンドタオルで顔を隠していた。


『ねぇ大丈夫?さち。今からご飯食べに行くんだしさ、元気出そうよ。』









と言っている友達も幸子のこんな姿を見たのは初めてだったのか、かなり驚いた感じだった。












『ねぇさち。ご飯二人がおごってくれるってよ!行こうよ!』



『ちょ!まっ!…』


俺は健太の裾を引っ張った。







幸子はタオルで顔を隠したまま、小さくうなずいた。























『うっそぉ~!!マジで!?健太くんウケる~!!』













さすが健太。







30分前までの幸子が別人のような顔で笑っている。



恐るべき、中西マジック。






『ツカよお前も喋れよ慎二!カッコつけてんなって!今時の女の子は、お前みたいな変にカッコつけたやつより~俺みたいに無邪気で明るくてみんなの盛り上げ役的キャラの方がモテるんだぜぃ。ねぇ~さっちゃん!』


『どぅかな~(笑)』



『えぇ~!そこはノッとこうよ~。』



『アハハハッ!』











確かに健太の言うとうりかもしれない。


実際俺から見ても今の健太は輝いて見える。











『てゆうか慎二くんの事故った時はチョービックリした!』



『…俺が一番ビビったよ。』









『てゆうか二人って暴走族なんだよ!そんな風には見えないよね~(笑)』



『えぇ~ウソ!?こわい~。ケド確かに見えないよね(笑)』




『まぁね~。別にらしいことやってねぇし。ケドなんか男らしいっしょ?』



『そぅかな?なんか汚なそう(笑)』



『さち、それ意味わかんないって(笑)』














『アッ!そうだ!二人バイク乗ったことある?今度後ろ乗してあげるよ!4人で海行こうぜ!』






『えぇ~ケド怖くない?バレたらヤバイし…。』





『大丈夫だって!安全運転だし俺ら。』


















『…いいじゃん優子。バレないって。気持ち良さそうだし、行こっ!海。』



『まぁさちが行くなら…。』



『アッわたし健太くんの後ろね!あの事故見てるから慎二くんはちょっと…。』






『なっ、あれはたまたまカーブでマンホールがあって少し濡れてたからで!ぜって~健太よりはうまいし!!』








『フフッ(笑)』









『なんだよ慎二~。そんなにムキになってよ。アッさてはさっちゃんに後ろ乗ってほしいんだろ~(笑)』



『ちげぇし!別にどっちでもいいし!』





















『フフッ(笑)ウソだよ慎二くん。乗せてよ、後ろ。』


















『…好きにすれば。』











とゆうことで一週間後、海に行くことになりました。




















この出来事で幸子の背景を知ってしまうことになる。


















神様は意地悪だ。


























あんな優しい子に

























辛い思いばっかりさせやがって。
『んで?』



『だからそんなんじゃねぇって。』


『…お前さ~何年付き合ってると思ってんだよ。お前が首の後ろ描くときは動揺のサインだっつーの。ケケッ(笑)』

『…マジで何もねぇって。』

『…。』

『…。』













『じゃあ買ってこいよ。そうだな~ダブルマックセット!!の~ピクルス抜き。飲みもんはもちコーラで。』


『ちょ、ちょっと待てよ!!何でそうなんだよ!』


『はぁ?お前のせいで何も食わずに出たんだろ。いきなり走りだしてよ。ツカ俺は腹が減ったの~。何もないなら何で逃げるようなことしたんだよ。』



『それは…。』




『それは?』


『…あぁ~はいはい。行くよ!行けばいんだろ!』


『しょうゆ~こと~(笑)』

























まんまとやられた。健太はこういうネタが大好物である。人をいじるということに関しては右に出るものはいない。俺のことに関してはなおさらだ。あまり隙を作らないように生きている俺がたまにへまをしたらすごい追い込みをかけてくる。




かなりえげつない奴だ。中西 健太。














(それにしてもどぅすっかな。むこうは気ずいていないか?気づいていたら完全に意識していることがばれてる。…ツカ意識なんてしてねぇし!!おいどうした俺!!女ごときに!!バッカじゃね~の!!)







『何してんの~。』






ビクッ!







ビクッ!じゃねぇよ俺。冷静になれ。不意をつかれても冷静に…。



『お、お前こそなんでここに!』





『何でって見ればわかるでしょ。マッククルーなの私(笑)。似合ってるでしょ。』



右手に持ったゴミ袋をその場におき、その手を頭の後ろにやり、左手は腰に…ありきたりなモデルポーズをとりながらこの女は言った。





『ダッさ。じゃ。』





動揺がバレないようにクールにきめる俺。






















『何でさっき逃げたの~(笑)』














(何ぃ!?)










『さっき来たでしょ?何で走ってったの?』













(クソっ。バレてたか。)













『ちょ、ちょっと用事があったんだよ!関係ねぇだろ!』







『ふ~ん。あっそ。』











『ツカゴミ。早く捨ててこいよ。客として見たくないしな。その格好。』











『言われなくても行きます~。』

















これがあいつと俺の二度目の出会い。





















このときには自分でも気ずかないうちに気になってたみたいで






歯車は噛み合って













少しずつ動き出していた。

























もう会わないだろうと言う確信と
















また会えるかもという期待























期待なんかしても裏切られる















そゆもんだろ世の中





















そうやってずっと自分に言い聞かせてた。




















そんな妙に冷めたおれの心を



















見事に裏切ってくれた人





















なんだか暖かいものにさわったような感じで
























心の中で微笑んでた。
『ミーンミンミンミンミンミンミーン』





うるせぇよ蝉。




俺は蝉が大嫌いだ。

ウルサイしどうしてもゴキブリ系にしか見えない。

決定的な理由は



小便をする。



何の取り柄もない、まさしく最低の昆虫だと言い切れる。



こいつが泣き出し始めたら学校の授業も蒸し暑くて寝れやしない。



『あぁ~あち~。』



ブゥーンブゥーン。

ケータイがなった。

健太からだ。

「足、大丈夫か?」

前を見ると健太がこっちを振り向いてシーサーのような顔をしてこっちを見ている。
前の席の女が思わず笑った。

俺はメールの内容と健太の変顔の温度差に慣れに慣れた呆れを感じた。

「いて~よ。痛くて寝れねぇし。」

送信ボタンを押して一分もたたないうちに返事がきた。

「今日の飯何パン派?」



健太にとって俺の傷は何パンを食べるかということを聞くための『拝啓』的ものにしか過ぎないのだ。





『ツカ昨日は災難だったよな~。お前は事故るは、先輩には怒られるは、帰りにパン落とすはでな~連鎖反応ってやつだな。』


『それだったら俺の事故のせいでお前がパンを落としたみてぇじゃねぇか。ツカパン落としたのは関係ないだろ。』

『バカやろ!俺にとってはそれが一番の事件なんだよ!』


毎日のように感じている感情。




よくこいつと10年も付き合ってるよな。俺。





ケドそんな健太が好きだったりすることも事実で。



俺の考え付かないような突拍子もないことを言う健太が一緒にいて本当に飽きないのだ。





『ツカよ~。その女、可愛かったの?』

『普通じゃねぇ。あんま覚えてねぇけど~岩田みたいな感じ。』

『なんだよ。つまんね~。』


会話から解るように岩田とは俺達のクラスにいる普通の女子だ。
遠くからや写真だと可愛く見えるんだが、近くで見るとイマイチな岩田が昨日の女を表現するのに一番マッチしたのだ。


『ツカマック行かね?』

『いいケド。俺腹へってね~。ポテトくれるなら行くわ!』

『マジか~。そうきたか~!!しょうがなくな!半分な!!』











『いらっしゃいませ!!』








『あぁ~生き返るわ~やっぱ夏はクーラーの効いたとこいないと死ぬな!』


『だな。』


『MサイズとLサイズをお選びにできますが。』


前の客に定員さんが聞いている。





(んっ?)


この、かなりサービス慣れしているのか、慣れすぎてむしろ見下されているかのようにも捉えられるしゃべり方。聞き覚えがある。

それもかなり記憶に新しい。











いた。











昨日の女。










少し隠れそうになった自分を不思議に思った。


















もしかしたらその時に少し運命を感じたのかもしれない。