消えてった輪ゴムのあとを自転車で追うのだ君も女の子なら 我妻俊樹
連作「ペダルは回るよ」(『短歌ヴァーサス』第11号)より。
「輪ゴム」と「自転車」がどっちもゴムを材料(の一部)に持つ「輪」であるということを踏まえたうえで。
●両者がいろいろな点(大きさ、移動距離、等々)で対照的な「輪」であること。
●前者を後者が「追う」という行為は普通は成り立たない(歩いたほうが早い。飛び続けるものじゃないから「追う」に当たらない、等々)ということ。
●その理不尽な命令を「君」が受けとる理由が「女の子」だからであるということ(さらなる理不尽)。
●その理不尽な命令を発してるのは話者、つまりこの歌自身であること。
といったあたりに読んで意識が引っかかるかどうかはともかく。「自転車で輪ゴムを追う女の子」ってなんかよくないですか? ということですね。SFっぽくないですか。