ロックンローラー | モリノメグミのブログ

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やっぱり食が大事。食べることがなければ、お洒落も、美容も、恋愛も、日々の暮らしも、意味無いですね。
大切な食とそれを生み出す農を考え研究し、実績して綴ってゆきます。

朝早くから、お客様に会う為に焼
き物の里信楽へ

このお客様の本社は大阪ですが、お客様の会社の工場のある信楽で、農業に関する話もしたいということで、信楽でお会いすることになりました。


あちらこちらに山々や広い農地が広がって、なんとも言えない田舎の雰囲気です。


いたるところに狸の焼き物が。



ここ信楽でも、すごく沢山の休耕田があります。

日本全国の傾向ですが、山間部の段々畑風のものはほとんど休耕田です。

確かに作業効率は悪いですが、活用できたら、必ず自給率を押し上げてくれるでしょう。
それには抜本的な改良をした国策が
必要ですが。


お客様である会長さんに、工場の従業員さんとご一緒にお昼をご馳走になりました。
やっぱり人がたくさん来られるのか、すごく沢山食べるお店があります。
おいしかった!!



会社に戻ったら、地元の人も来られて農業の話。

地元で、まとまった農地を貸して欲しいと言うお話があって、貸すべきか、貸すなら期間はどれくらいかと言うお話です。

会長さんが、私が実際そういうことをしているし、農業や農地の貸し借りに詳しいから、立ち会って意見を述べるように同席させて下さったのでしょう。


田畑の貸し借りは、制度もちゃんとあるし、通常の土地の賃貸借と言うのもあります。
でも、実際はうまく行きません。
地元同士の方の間でやるのならそうでもありませんが、法律上で安心して貸し借りできるようになっていても、見知らぬ人に安易に田畑を貸す人はありません。


田畑はこの国の中で、貴重な食料と価値を生み出し、風光明媚な景色を人に見せ、食べることから土に返ることまでの超自然のサイクルを絶えず示して来、何十代にも渡る日本人が、絶え間ない労力を注いで維持して来たものなのです。
そう言ったものを法律上のルールにのっとったからと、おいそれと人に委ねない。田畑や山林というものは、単に資産と言う以上の価値を持っていると言う理由は、そういうことです。
山紫水明の恵みや、同じような種粒なのに種類によって様々な驚くほどの食材をもたらす仕組みの不思議は最早人が操作できる領域ではない、偉大なものです。

田畑を貸す方の方は、お一人は80を超える方。
「わしも、そろそろ体が衰えてしんどいさかいに、信用できる人やったら任せてもええ。田畑は元々先祖のもんや。息子や孫が急に田舎に戻って来て売り飛ばすて言うよりましや」
と、言って笑ってらっしゃる姿を見て、私はちょっと涙が出そうです。

今まで、何度こういう光景を見て来ただろう。

このお年寄り達が、ずっと、日夜仕事も家庭生活も営みながらこの国の国土を守って来られたのは間違いない。

多くの兼業農家の実情。非農家と違って、自ら稼いだものを全て好きなことには使わない。田畑や山林を維持する資金にまわされて来られたのです。今、この国は本当に岐路にあると思います。

担い手が不足しているのは農業ばかりか、国土を維持管理して次の世代に受け継ぐ人です。

「たわけ」っていう言葉。意味はみんな知っています。でも語源ははてなマーク
たわけとは元々田を分けると言う意味。転じて愚の骨頂となったのです。

新規就農が難しいのは貸し手が無いからではなく、借り手の問題かも知れない。

一時期京都大原の三千院のあたりに私は頼まれて田んぼでお米を育てていたことがあります。
観光道路から見る大原は美しく整備されていますが、山に入った田んぼは、当時資材置き場あとや小さな家屋作業場の廃屋が結構ありました。
これはおそらく全国の農村であることです。

農地をうまく言って借り受け、ある日そのままにして賃料も満足に支払わないでいなくなる。
農地は結構そういう目にあって来ました。
今の就農も、思いついたように田畑を借り、ある日突然放棄する例は少なくないと聞きます。

田畑のを貸すお年寄り達にとって、資材置き場業者も新規就就農者も、国土を守らないと言う点ではおなじ。
土地はそのもの本来の機能を生かしてこそ守ったと言えます。

会長さんのような人が借りてあげたら期待は裏切らないでしょうと私はアドバイスして、長いお話を終えて、表に出たら、晴れているけど肌寒い。

もう、服もオータム・ウインターです。

田園風景に、合うのか合わないのかわからない、スーツの出で立ちで、延々と田畑や山林の続く表通りに出て、いいお話を聞かせて頂けたこと会長さん達にお礼を言って、車に向かいます。

途中、胸をさらわれるぐらい、甘くかぐわしい香りがビックリマーク


大好きな金木犀がありました。ニコニコ

おじいさんの言葉と、歴史と思いのたけがいっぱい詰まった顔を思い出しながら、私もやれるだけのことはやろうと、自分が引き受けている田畑のことをぼんやり思いました。


それにしても、兼業農家のおじいさんたち、私よりロックンローラーだなぁニコニコ



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