「羊さん、たくさん食べてね」-。遊休農地に羊を放牧して雑草を食べさせ、その後で耕作地として復活させる取り組みが袋井市で始まった。おとなしく鳴き声が静かな羊に着目、耕作放棄地の解消や労働力軽減なども期待できる実証実験として注目される。県内では牛やヤギの遊休農地での活用例はあるが、羊は初めてという。 (報道部・赤野嘉春)


 袋井市農政課と県中遠農林事務所が、農家の高齢化で拡大傾向にある遊休農地の解消策として共同で取り組んでいる。機械や除草剤を使うより低コストで景観を守ることもできるという。活用法が有効と分かれば、遊休農地を持つ農家に飼育を奨励したり、貸し出しも考えている。


 放牧地は、同市浅岡の農産物直売所「どんどこあさば」北側に広がる1000平方メートル。セイタカアワダチソウなどが生い茂っていた休耕地を柵で囲い、6月20日に羊毛や食肉用で知られる生後5カ月のコリデール種3頭を放した。


 性格がおとなしいため、暴れたり大声で鳴いたりしない特性を利用。農地内の雑草があれば餌は必要なく、簡易テントで日陰部分を設け、水飲み場も設置した。放牧から20日近く経過した羊たちは食欲も旺盛で休耕地の半分ほどの雑草を食べ尽くしており、実験は順調に進んでいる。雑草がなくなり次第、放牧地を変えながら来年3月末まで行う。


 中遠農林事務所茶業農産課の水口長八課長(51)は「雑草除去だけでなく、子どもたちを対象とした毛刈り体験なども行って、農業教育実践にも役立てたい」と期待を込めた。


2008年7月10日