白山市行町の畑で脱サラしてブルーベリー栽培に取り組む打越良昭さん(57)=同市日御子町=は三年目の今年、初めて本格的な収穫を迎えている。知人から借りた二十五アールの畑で五百五十株をバッグ栽培で育てており、もぎ取り園も始めた。打越さんは加工商品の開発も視野に入れ、「いずれは鶴来の特産化につながればうれしい」と期待している。

 打越さんは旧鳥屋町出身で、四年前に勤めていた企業を退職して父親がやっていた農業に転職した。退職前に大阪で初めて食べた際に感動した生のブルーベリーの栽培を決めた。県の就農準備校「アグリ塾」で果樹栽培の基礎を学んだ。


 ブルーベリーは酸性土壌で育てるため、農地改良や状態の維持が必要になる。打越さんは土づくりの労力を省くため、スポンジ状の素材を袋に詰めて苗を育てるバッグ栽培の手法を取り入れた。水や肥料でpH値を調整することができ、苗の生長も促進されるという。


 打越さんは二〇〇六年五月に苗を植え、二年間は苗の育成を優先。今年六月半ばからハイブッシュ種百株を収穫し始め、今後はラビットアイという品種約四百五十株がピークを迎える。八百―千キロの収量を見込んでおり、農園での摘み取り体験をはじめ、地元ケーキ店に卸したり、直売所での販売を始めている。酒や酢などに加工できないかと考え、市内企業にも売り込んでいるという。


 打越さんは「家族にも手伝ってもらいながら、自然とともに生きる喜びを味わっている。ブルーベリーの魅力を広めるための戦略を考えるのも楽しい」と話している。問い合わせは電話=076(273)3660=まで。


7月15日03時50分更新

北国新聞