【京都】30数年間、ガラス温室でトマトなどの水耕栽培に取り組んでいる亀岡市西別院町犬甘野(いぬかんの)の農家は今、燃料・肥料の高騰に頭を痛めている。このまま続けば、周年出荷への継続が懸念されている。


 この農家は長澤忠夫さん(64)。貿易会社に勤めていたが、両親の高齢などの理由で1974年にUターンして農業を継いだ。山間地のため、当時としては珍しい水耕システムで、ハウスでのトマト栽培に挑戦。今では2カ所で合計63アールのガラス温室でトマトやキュウリ、イチゴなどを周年栽培している。


 JA京都の亀岡直売部会長も務め、仲間と市内大手スーパーで直売コーナーを設けて野菜の販売も開始。「新鮮で安い」などと徐々に売り上げが伸びている。


 水耕トマトは周年出荷のために、10月から翌年3月まで温室を暖房する必要がある。近年の重油高騰が経営を圧迫してきている。「農業用A重油も以前より3倍もの高値、水耕肥料も倍以上になっている一方、トマトの値段は20年前と変わらない」という。


 長澤さんは「高騰が続けば、燃料がたくさん必要になる冬場での作付けをやめることも考えなければならない」と心配している。

掲載日:08-07-10

日本農業新聞