10月31日(日)に、「セクマイと学生相談」をテーマにイベントを開催しました。二部構成で、一部が「セクシュアル・マイノリティと学生相談」と題した心理専門職向けの研修会、二部が「セクマイ学生のための、学生相室活用術!」という当事者向けのイベントです。

 今回は、一部にどれぐらいの参加希望者が集まるかが心配だったのですが、当日は30人ほどの学生相談室勤務のカウンセラーの方々が参加して下さり、やはりセクシュアル・マイノリティの臨床を学びたいというニーズは(以前よりも)高まっているのだな、と実感できたことがいちばん大きな収穫でした。関西や東北など遠方からも参加して下さった方々がおられたのが嬉しい驚きでした。
 (今回は、広報に手間暇をかけました。(関東圏を中心としましたが)全国計400か所弱の学生相談室に郵送でチラシを送りました。その甲斐があったといえましょう。)

 一部の内容は、平田と(北里大学学生相談室で心理士として勤務しておられる)柘植道子さんから「セクシュアル・マイノリティと学生相談」というタイトルでレクチャーをしました。平田からは、基本的用語の説明、日高庸晴さんの研究結果を参考にしつつセクマイのメンタルヘルスの現状、Cassのアイデンティティ発達モデルを使いつつ臨床的留意点について述べました。今回は、臨床的留意点の部分を(従来のレクチャーよりも)豊富に盛り込みました。トランスジェンダーについての留意点も従来よりも盛り込み、内容的に豊かになったのではないかと思います。柘植さんからのレクチャーは、実際に学生相談室をセクマイ・フレンドリーにするために、および大学の他部署と上手く連携するためにどのような工夫をしたらよいか色々と具体的な話をされ、とても参考になりました。また、ホモフォビアについても色々な観点から話をされたのがとても勉強になりました。二時間しかレクチャーの時間を取らなかったのでおせおせになっちゃったのが、とてももったいなかったですね。以後は、もっとレクチャーの時間を長めにとりましょう。

 二部は、レインボー・カレッジの(「ロドス」の、と言ったほうがいいのかな)遠藤まめたさんもファシリテーターに迎え、当事者学生さん&当事者「元」学生さんの二人をスピーカーに迎え実際に学生相談室を利用した体験談を話していただきました。(あ、その前に、最初に、再度、柘植さんから今度は当事者向けに「学生相談室とは?」というお題で30分ほどお話していただきました。) 当事者お二人の体験談はとてもリアルで、ディスカッションを刺激する内容でした。学生相談室に置いてあるセクマイ関係の本も、カウンセラーの知識も古かったり(フロイト理論がベース)、カウンセラーの姿勢も、セクマイ学生に接するのに「???」な部分もあったり、という話が出てきたのですが、それを聞いたフロアーのカウンセラーからは、「『一緒に学んでいきたいと思う』とお伝えするのは、よいですか?」とナイスな質問も出ていました。体験談の後、一時間ほど、フロアーも交えてのディスカッションにしたのですが、二部で残念だったのは当事者学生の参加者が少なかったことです(あちこちの大学の学祭と重なっている日程だったのがけっこうネックだったようで、日程設定をもっと考えればよかったと思いましたが、後の祭りでした。) その代わりと言ってはなんですが、一部から大勢のカウンセラーの方々が残って下さり、貴重な発言もきけたことがよかったです。意見として挙がり、私ももっともだと思ったこととして、「大学生活の中で色々とセクマイにとって上手くいかないことも起るだろうが、上手くいかないことについて、報告してもらったり、愚痴ったり、一緒にどうするか考えたり(一緒に作戦会議を立てたり)、そういう伴走者のような役目を、学生相談室のカウンセラーができるとよいと思う」というものでした。必ずしも、大学生活において思った通りの改善策が得られなかったとしても、そのことについて、「じゃあ、次、どうしたらいいだろうねー」と一緒に考えていく場として、学生相談室が機能していけたらよいのではないか、という意見が出て、「なるほど、その通り!」と思いました。
 
 終了後は、お手伝いに来てくれたAGPスタッフたちと、まめた君&スピーカーたち若者グループとで、近くの「さくら水産」で打ち上げをしました。
 AGPメンバー達もなかなかアップアップしてて今やっていることで手一杯になりがちな日々ですが、あちこちのセクマイ団体がばらばらにやっているけど実は似たようなことをやっている部分を、共有できるところは共有していけると、もっといろいろ効率的にできたり、もっと深めたりできるのでは、なんていう生産的なお話をしたりしました。
 こんなコラボ企画をまたできるとよいな、と思います。専門職向け研修会もまたできるとよいね、なんて話を(鍋をつつきつつ)AGPメンバー達と交わしました。
 不慣れでいろいろと反省点もあるイベントでしたが、間違いなく今後に活かしていけると思います。
 イベントに関わって下った皆さま、お疲れさまでした!