そう...あれは、季節はずれの暑さだった夏の終わり頃。
今まで少しずつ涼しくなってきていたのにも関わらずその日はとても暑かった。
僕、冷泉 優は友人の黛 鏡夜と夏祭りの帰り道に居た。まぁ夏祭りといっても市内の小さな規模で行われていたものだった。
僕と鏡夜は帰り道の途中で一匹の猫に出会った。いま思えば目を見ただけで背筋が凍りそうなほど冷徹なまざざしをしていた。
けれども僕たちはその猫のことを忘れて喋っていた。やがて進路の話になった。僕ら受験生にとってはこの夏で差がつくのだ、と分かっていても勉強に踏み出せずいた。
帰れば母親に勉強勉強とどやされると思うと二人とも帰れずにいたのだ。
そんな話をしていた直後、「優君 鏡夜君」と呼ぶ声がしてぼくらは振り向いた。
その直後脇腹に激しい痛みを覚えた。隣からもうめき声が聞こえ鏡夜も同じ状況であることに気づく。
目の前が暗くなっていく。
夜空の闇に吸い込まれていく気がした。