◆目標を宣言するとやる気がなくなる
8月の「心理学講座」です。
適切に目標を設定し、目標達成への自信をもつことができたら、周囲の人の前で目標を宣言する人もいるでしょう。
目標を宣言すれば、他者に目標を知られることになり、自分にプレッシャーをかけて行動をおこすことができるという効果が期待できます。
この効果のことを【宣伝効果】といいます。
ただし、これはプレッシャーによって行動しているだけで、「やる気を出す」という意味においては、目標を宣言することは逆効果であるとする実験結果もあります。
2009年、ドイツの心理学者ピーター・ゴルヴィツァーらは、次のような実験を行いました。
法学者を目指し、学習への意欲が高い学生を32人集め、学習への意欲を問うアンケートを受けさせました。すると学生たちは、軒並み「できるだけ沢山勉強したい」と答えました。
ここで、学生たちを二つのグループに分けました。
グループAに対しては、アンケートを回収する際に、回収する人(実験の実施者)が、学生の目の前でアンケートの内容を見ました。もう一方のグループBに対しては、アンケートを見ずに回収しました。
その後、両グループの学生たちに、法学に関する問題20問を45分間解かせました。ただし、45分のうちいつやめてもよく、また45分を経過した時に問題を解いている途中であれば、その時やっている問題に限って、解き終わるまでやっても良いとしました。
すると、グループAは平均41分31秒かけて問題を解いたのに対し、グループBは平均45分39秒問題を解きました。
つまり、アンケートを見られた(=目標を宣言したことに相当する)グループAの方が、より短い時間で勉強をやめたのです。
ゴルヴィツァーは、この結果を一種の【代償行為】の影響であると解釈しています。本来、代償行為とは、ある欲望が達成されなかった時に、別の欲望を達成して満足する行為のことを指します。
この場合は、目標を宣言しただけで満足するという意味で、代償行為の一種だととらえているわけです。心理学によれば、やる気を保つには【不言実行】も有効かもしれません。(転載終了)
(参考書籍)ゼロからわかる心理学(別冊ニュートン)
progress(2006年 スガシカオ)





