認知心理学とは

 

6月の「心理学講座」です。

 

私たちは日々、何かを見たり、音を聞いたり、においを嗅いだりと、様々な感覚情報を受け取って、自分や周囲の世界のことを把握しています。

 

 

そのうえで過去の経験と照らし合わせたり、これから起こることを推測したりして、どのように行動するべきかを決めていきます。

 

実験心理学は、実験によって、この一連の流れにかかわる感覚、知覚、認知(記憶・思考など)といった仕組みを研究する学問です。感覚は、実験心理学で研究する人の機能の中でも、一番初めに働く機能になります。

 

「脳とこころ(上毛新聞)」より

 

私たちが視覚、聴覚、嗅覚などといった感覚情報を受け取る目、耳、鼻などは【感覚器官】とよばれます

 

感覚器官が外の世界から受け取った情報は、複数の神経を経由して、大脳の表面を覆う大脳皮質へと達します。大脳皮質の中では、感覚器官から伝達された情報がいくつかの成分に分けられます。

 

例えば、視覚では目で見た対象(もの)が【形】【色】【動き】などの情報に分けられて、それぞれを扱う領域へと伝えられていきます。

 

◆感覚から知覚、認知へと高度な機能が働いていく

 

目で受け取った情報を単に「青い色」「丸い形」などと処理するだけでは意味がありません。脳では、さらに高度な処理が行われます。

 

例えば、あなたが水を見たとしましょう。

 

 

その情報は、大脳皮質の「第一視覚野」という場所に伝えられ、さらに下頭頂小葉(かとうちょうしょうよう)】へと伝えられます。

 

そして、ここで、見ているものが「水」であると認識されるのです。これが知覚を達成するまでのおおまかな道筋です。興味深いことに、他の感覚器官から得られた情報も同じような経路をたどって、対象が何であるのかを認識します。

 

「アインシュタインの脳は何が違った?」より

 

水の流れる音を聞いたならば、その情報は「一次聴覚野」を経て【下頭頂小葉】へと伝わり、「水」だと認識されます。

 

あなたの手が水に触れたとしましょう。手から伝わった情報は「一次体性感覚野」へ届けられたあと、同じく【下頭頂小葉】へ行き、ここで「水」だと認識されます。

 

 

さらに、手が水に触れたあなたは、「今、手に触れているものは水だから、カバンを持つ前に手を拭かなければカバンが濡れる。だから手を拭こう~」など、過去の経験を思い出したり(記憶)、未来の結果を推測(思考)したりすることができます。

 

これを【認知】といいます。

 

認知の働きによって、私たちは周囲の感覚情報から、適切な行動がとれるのです。(転載終了)

 

(参考図書)ゼロからわかる心理学(別冊ニュートン)

 

【ゲルトマン症候群】下頭頂小葉