損する時に感じる衝撃の方が大きい

 

心理学です。今回は「確実な儲け」をとるか、「賭け」に挑むか、どちらかを選ぶかの実験からご紹介しましょう。

 

◆質問(1)

 

はじめに1万円をもらいます。その後・・・

 

(A)さらに5千円をもらう

 

(B)50%の確率で1万円をもらえるか、もらえないかの賭けに挑む

 

◆質問(2)

 

はじめに2万円をもらいます。その後・・・

 

(A)5千円を返す

 

(B)50%の確率で1万円を返すか、返さずに済むかの賭けに挑む

 

実験の結果、質問(1)では(A)を選ぶ人が多く、つづけて聞いた質問(2)では(B)を選ぶ人は多くなりました。

 

◆判断の違いは「得の判断」か「損の判断」かにある

 

 

実は、質問(1)と質問(2)は、もらう金額と確率は同じです。

 

それにもかかわらず、聞き方が違うだけで、どちらを選ぶ人が多いかが変わってしまったのです。

 

このような実験結果が出るのは、私たちが損をした時と得をした時で、感じ方が違うからだと考えられています。

 

★質問(1)

 

はじめにもらった1万円が参照点です。1万5千円か2万円をもらえた場合は「得をした」という価値を感じます。

 

(B)でお金がもらえない確率が50%の時、多くの人は「Bを選んでお金がもらえない」という事態になるリスクを避けて(A)を選択します。

 

★質問(2)

 

はじめにもらった2万円が参照点です。もらう金額が1万円や1万5千円になる場合は「損した」という価値を感じます。

 

(B)で損をしない確率が50%の時、多くの人は「必ず損をするように感じられる(A)」を避けて、(B)を選択します。

 

◆損失回避性

 

米国の心理学者で行動経済学のダニエル・カールマンとエイモス・トベルスキーは、1979年に【プロスペクト理論】を発表しました。

 

この理論によると、同じものであっても、人にとっては得るときに感じる価値よりも、失う時に感じる価値の方が大きくなります。

 

そして何かが失われそうになると、それを失わずに済む方法を選択する傾向があると言います。

 

 

その性質は【損失回避性】と呼ばれています。

 

実験の質問(1)では、確実に多くのお金をもらえるため(A)を選ぶ人が多くなったと考えられます。

 

一方、質問(2)では、5千円を返す(A)を損するように感じる人が多く、(B)を選ぶ人が多くなったと考えられるのです。

 

世の中では、「損失回避性」を突いた販売促進が溢れています。

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(参考書籍)ゼロからわかる心理学(別冊ニュートン)

 

(参考)プロスペクト理論とは?

「プロスペクト理論」を徹底解説

 

★過去記事