音に乗ってどこまでも流れてゆくと、鏡の様な水面にエメラルドグリーンの雫が一滴落とされたように、透明な光にエメラルドグリーンの光が混じり合っている。

 

二つの別々のものが出会い、その狭間にはうっすらと緑色を帯びた太陽の扉が見えてくる。眠っていた意識と目醒めた意識が出会い、長い長い夜が明け、あたたかな光を放っているかのように。

 

 

眠りの世界に置き去りにしてしまった夢の余韻を取り戻したような安堵感、二つに分割された片割れ同士が融合され、再び一つの球体に戻ったような、この平穏な光はなんだろう・・・。

 

ふと、我に返り隣にいる王子の姿を確認しようと身体を90度回転させてみると、まばゆい光の中心には燦然と輝く人がいた。その姿は今まで見たどの光景よりも驚きに満ちていた。

 

イメージ図です

 

頭上から純白の光が舞い降り、そして、後頭部からは今まで一度も見たこともないようなピカピカとした透明な光を放っている。その光は放射状に拡がり、舞い降りてくる光と混じり合い、二重の王冠のように見えた。まるで古代の王のような高貴さをたたえていた。

 

純白のペガサスの次は・・・白い二重の王冠を被る古代の王に変身してしまうなんて、これはいったい・・・。

 

 

【〇の中心に・】が打たれた図形を観想するだけで、王子は王になるのだろうか?それとも、カメの甲羅の魔方陣の49番目に座ったのだろうか?本当にこんな単純な方法でいいのか?

 

(過去記事)太陽より生まれし者(2)(3/11)

太陽より生まれし者(3)(3/14)

 

これは、きっとカテゴリーエラーに違いないとマヤは必死で虚空の右斜め45度にある変換スイッチを切り替えてゆくが、どんなにモードを切り替えても、根底に流れるエッセンスは永遠に変わらないのだった。

 

大洗磯前神社と日の出

 

ただならぬ気配が伝播したのか、隣に座っている人は静かに目を開けて、不意にマヤの方を見る・・・。夜明けの太陽が、ほんの一瞬だけ見せる色。透明な光にエメラルドグリーンの光を一滴落としたような光が瞳の奥から放たれている。その瞳の奥の色を見た瞬間に、一瞬にしてすべてがわかったような気がした。

 

螺旋の進化(3)(2018/12/21)より

 

過去と未来が一つに融合され、今という瞬間に大いなる光が舞い降りてくる。二人は瞳を交わしたまま、しばらく視線を離すことができずにいた。言葉では言い尽くせないような記憶が閃光となってダウンロードされてゆく。

 

「太陽より生まれし者よ・・・

太陽が緑の炎をあげる時・・・

長い眠りの時代は終わり、

目醒めの時がやって来る」

 

Gの厳かな声が、あたり一面に響きわたっていた。(次回へつづく)

 

以上、「宇宙の羅針盤(下)」より転載しました。

 

夜明けのスキャット(昭和44年 由紀さおり)