(ガイドG)

「さあ、思い出してごらん。君たちは共に惑星地球に降り立ち、時を重ね、約束を忘れ去り、別れ別れになってしまった。そして、別々のところで知恵というものを獲得し、その悲しみを知恵によって克服してきたのだ。

 

 

互いの知恵を持ち去り、再び二つの知恵が集まった時、次なる行動としての「+1」が必要になる。二人の別々の知恵が集まって、ただ互いに比較したり、知恵の品評会をしたりしているだけではなにも現実は動かない。互いに離れ離れになってしまった悲しみを力に変えて、プラス一歩を踏み出す勇気を持つことだ」

 

Gの言葉は心の深いところに届き、超えられなかった障壁を軽やかに飛び越えてゆくような作用があるようだ。

 

 

(ガイドG)

+1を理解するうえで、もう一つ別の話題に飛ぼう」

 

Gはスクリーンに「〇」を描き、その中心に「・」を打った。

 

(マヤ)

「あ、これ。わたしは夢の中でこれと同じ図形・・・太陽の中心に打たれた点を見ましたが、この中に、+1という要素が含まれていたのですか?」

 

(ガイドG)

「その通り。この図形にも、+1という要素が含まれているのだよ。この単純な形状に宇宙創造の原理が描かれているとしたら、君たちはどう思うだろうか?」

 

「こんな単純な図形に?」

 

二人は同時に同じ言葉を発している。まるで脳を共有しているかのように、同じタイミングで、同じ疑問を発しているようだった。

 

 

「さぁ、謎を解いてごらん。この図形が何をあらわしているかわかるかな?」

 

「コンパスの針?」

「眼?」

「細胞?」

「鉛筆の芯?」

「それとも太陽の黒点?」

 

 

(ガイドG)

「よく聞きなさい。カメの甲羅の魔方陣の49番目と、夢で目撃したという太陽の中心の丸は、結局、同じことを指していたというわけだ。48までの数字で構成された魔方陣に、+1の要素、すなわち49番目を打つことと、【〇に・の図形】は同じこと。

 

「46」は未来の数字(2)(2018/6/27)より

 

 

この図形は、球の中心であり球の表面を示し、カメの甲羅の魔方陣の49番目と同様、中心であり外周というシステムをあらわしている。この図形を使って、内側と外側を反転させた時、城壁の外へと出ることも、城壁の中へと入ることもできるのだ。そう、ゲート#98の『城壁』について、君たちが語りあったことも、決して無駄ではなかったのだよ」

 

まさか・・・カメの甲羅の魔方陣の49番目と、夢で見た太陽の中心で回っていた図形が、同じ意味だったとは・・・そこに+1の答えが隠されていたとは、マヤは驚きのあまりポカンと口を開けていた。

 

(ガイドG)

「さぁ、ここからが実践だ。二人とも、心の目でこの図形を見てみなさい。心を鎮めて、【〇 ・】を観想してごらん」

 

 

二人はしばらく無言のまま、スクリーンに描かれた図形を眺めていた。王子は音もなくスーッと気配を消して、あたりの景色に溶け込んでゆく。すぐ隣に座っているはずの人が細かい粒子になり、透明になってゆくのがわかった。気配を消すということと、身体が透明になるということは同じ現象なのかもしれない・・・・。

 

透明になってゆく過程で、彼はきっとペガサスの姿になるのだろうと思い、一瞬、好奇心がわいてきたが、そんなことは、今のマヤにとっては、どうでもいいことだった。どんなに姿は変わっても、彼の根底に流れるエッセンスは変わらないのだろう・・・今なら不思議とそう思えるのだった。(次回へつづく)

 

以上、「宇宙の羅針盤(下)」から転載しました。