「ねぇ、マヤちゃん、この続きはどうなるの?」
「宇宙の続きを聞きたい?」
「聞きたいなあ」
「ここから先は、条件によって、色々なことが起きるけれどね・・・」
少女は意味深なことを言うと、すくっと立ち上がり、あたりを観察していた。
「ねぇ、あそこに女子をいじめている男子がいるでしょ?あの子は、ひっくり返っている子。好きな女子をいじめたり、きれいなものを見ると破壊したり、反対のことをしたくなるの。今から面白い実験をするから見てて・・・」
少女は完成した粘土の壺をテーブルの真ん中に置いて振り返ると、「わーい、できた、できた!」と両手をあげて大はしゃぎをしてみせる。
子どもたちが集まってきて、「わーきれい」「カッコイイ」「これなあに?」とみんな同時に話している。すると人垣をかきわけ、一人の少年がツカツカとやってきて、完成した壺をゲンコツでたたき潰して立ち去ってゆく。
あたりは騒然となり、泣き叫ぶ子や、奇声を張り上げる子、先生に言いつけに行く子、大笑いをする子、少年を追いかける子・・・、荒れ狂う竜巻のような渦の中心で、少女は平然とした顔をして、グシャッと潰れた粘土のかけらを拾い集め、再びきれいなマルを形成しようとしている。
「ね・・・見たでしょ。ひっくり返っている子」
「見た見た。でも、マヤちゃん、粘土を壊されて、どうして黙っているの?」
「みんな子どもだから仕方ないのよ。そういう年頃なんだから。それに、また新しい宇宙を作ればいいだけだから」
少女はどこか大人びた表情を浮かべている。
「ねぇ、マヤちゃん、悲しいことがあったら我慢しないで、泣いたって、怒ったっていいんだよ」
「別に。これは悲しいことじゃないから」
「マヤちゃん聞いて。地球で生きていくには、いろんな人とかかわらなくてはいけないの。あなたが幼稚園を出てからもずっとそれは続くの。だから、今、この年頃にしかできないことをしようよ」
「わかっている。だからわたしは今、粘土をしているの。だから、幼稚園の2年間は、ずっと粘土をしてるって、わたし決めたの。ひっくり返っている子は、周りをみんな負のスパイラルに巻き込んでゆく。大切な人を苦しめてしまう。きっと、これから先もずっとそう。だって反対まわりなんだから。きれいなもの、大好きなものを壊してしまうでしょ。
でも、壊されても壊されても、また作ればいいの。ただ、それだけのことよ。だって、ひっくり返っていることに、本人が気づくしか方法はないの。誰も真実を教えてあげることはできないのよ。ねぇ、大人になるって、ひっくり返っていることに気づくことでしょ?」
少女の真っすぐな目に射抜かれて、マヤはしばらく言葉を失っていた。(次回へつづく)
以上、「宇宙の羅針盤(上)」から転載しました。
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