「宇宙で最も速いもの」といえば、誰でも光を思い浮かべるでしょう。もちろん、その通りなのですが、実は、光より速いものが存在するのではないかという仮説があります。それが、「タキオン」と呼ばれる粒子です。
光より速い「超光速粒子」の存在を最初に指摘したのは、ドイツの物理学者アルノルト・ゾンマーフェルトです。このタキオンは、実際に存在が見つかったわけではなく、架空の粒子なのです。
こんな粒子が存在すると考えられたのは、光速が不変であることを説いた「特殊相対性理論」は、光より速いものの存在を否定しているわけではないからです。
タキオンが存在できる空間には制限があって、光速より遅い速度では動けない、虚数の質量をもつなどが特徴とされています。通常の物質は、速く動くものほど大きなエネルギーを必要とします。そして、どれだけ速くなっても光速に達することはできません。
逆にタキオンは、速度を落とすほどにエネルギーが大きくなるので、エネルギーがゼロのとき、速度は無限大になります。
タキオンには時間を逆行するという性質があるとも考えられています。相対性理論では、光速に近づくほど時間の流れが遅れていき、光と同じ速さになると、時間が止まってしまうと考えられています。
光速を超えると、時間が逆行するということです。もし、タキオン粒子が発見されたら、過去と未来で通信をすることも可能になるわけですが、タキオンが実在するという証拠は、未だに見つかっていません。(量子論がすべてわかる本より引用)
映画「君の名は。」の瀧くん
ハイ、ここでお気づきでしょう。映画「君の名は。」の主人公の一人である「立花瀧くん」です。タキオン➡瀧くん
「パラレルワールドは実在するのか?(2)」で述べましたとおり、「糸守町壊滅と三葉が死んだ世界」と「町民の大部分が無事&三葉等も無事」という枝分かれした世界が並行しており、瀧君がその並行世界を行ったり来たりしました。
≪タキオン粒子とは≫
(1) 超光速で動くと仮定されている粒子である。
(2) タキオンがあれば過去に情報を送れる。
理論的には過去に行けるということ。
瀧くんは隕石落下当日の糸守町(過去)に行き、町民や三葉さん等の命を救いました。新海監督はタキオンを瀧くんになぞらえたわけです。
また、2015年の映画「トゥモローランド」では、タキオンを40年前に発見していて、タキオンを応用したマシーンによって未来も過去も見れるようになっていました。
(参考) タキオン(Wikipedia) トゥモローランド(Wikipedia)
光より速い素粒子ニュートリノを観測(2011/9/23)
このニュートリノ観測は、最終的に、実験中厳密に時間を計測するために使用していたGPS衛星からの信号と時計を同期させる装置の間のケーブルに緩みがあったことによる時間のズレが確認され、超光速ニュートリノの存在は否定されました。
なお、「タイムトラベルが可能になると、歴史が変わってしまうよ?」という疑問ですが、多世界解釈は並行する三次元世界ですから、タイムマシンで過去に行っても未来を変えられるわけではなく、元の世界から分離したまったく新しい未来が訪れると解釈できます。
「ほんの少しだけ異なる世界に、ほんの少しだけ異なる自分がいる」
(過去記事)パラレルワールドは実在するのか?(2)
映画「バックトゥー・ザ・フューチャー」では、マーティが過去に行って若き頃の両親に会いますが、若き母はマーティに恋をしてしまいます。このままでは父と母が結婚せずマーティが生まれなかったことになってしまい、存在が消滅してしまう・・・と焦るわけです。
これはパラレルワールド(多世界解釈)ではなく、ひとつの時間軸の世界をタイムトラベルした主人公を描いた映画ですね~。映画って面白いですね~
時間よ止まれ(昭和53年 矢沢永吉)