『魔笛』の台本
魔笛02

挿絵の右にはフリーメーソンの通過儀礼の際に置かれる柱が描かれており、その下には死体が横たわっている。

黄金と太陽神の国ジパングに隠されたフリーメーソンの秘義!④

台本に暗示されていたモーツァルトの死

ちなみに、モーツァルトをフリーメーソンに勧誘したのはオットー・フォン・ゲミンゲン男爵という人物だった。彼もまたイルミナティである。

しかもイルミナティ解散後、バイエルン政府が引き渡しを要請したヴァイスハウプトに亡命許可を出したのも、当時オーストリア帝国の外交官であったゲミンゲンだった。

また、反対派の調整をしたのはスヴィーチンである。モーツァルトはこのように、イルミナティの会員たちと深いつながりがあったのだ。

アイゲン

ただし・・・モーツァルトがイルミナティに入信したという記録はない。だが、地質学者ヒューブナーが1792年に書いた報告書には、「ザルツブルグ郊外のアイゲンの森の洞窟で、イルミナティの会合があり、そこにギロウスキー伯爵に伴ってモーツァルトが列席した」とある。

また、晩年のモーツァルトは借金苦であったことがわかっているが、これは自ら『洞窟』というフリーメーソン・ロッジを創るための金策のせいだったということは、あまり知られていない。

『洞窟』とは、アイゲンの洞窟のことであり、『魔笛』のオープニングも森と岩が舞台となっている。これもまたアイゲンの森であり、タミーノはイルミナティの巣窟でフリーメーソンに追われ、気絶するという意味深長な暗号で始めるわけだ。

(参考) 『洞窟』という名の幻の支部づくり

魔笛03

『魔笛』の初演時には、2枚の銅版画が印刷された豪華な台本が発売されている。その銅版画の1枚には鳥かごを背負ったシカネーダーの姿、もう1枚にはフリーメーソンの通過儀礼の際に部屋に置かれる柱があり、よく見るとその下に死体がある。

その背後には二重の正方形と「S」というアルファベットがある。これが「水銀=昇水」の象徴であることを、どれだけの観客が理解したことだろうか。この死体はモーツァルトであり、毒殺されるという予言だったのだ。

水銀

水銀は原子番号80の元素。元素記号はHg。汞とも書く。第12族元素に属す。常温、常圧で凝固しない唯一の金属元素で、銀のような白い光沢を放つことからこの名がついている。 硫化物である辰砂 及び単体である自然水銀 として主に産出する。(引用終了)

では、シカネーダーはなぜ殺されなかったのか?

彼はイルミナティとは無関係の人物だったことがひとつ。そしてもうひとつ、彼まで殺してしまえば、さすがに暗殺が暴露されるという用心のためだろう。

なによりも彼は、『魔笛』を観ても結局は意味がわからず、巧みに隠されたメッセージを読み解けなかったのだ。それゆえにシカネーダーは殺されなかったのである。(次回へ続く)

「月刊ムー5月号」より