アミ04


≪円盤旅行(愛の進歩度)≫(青字は少年ペドリゥート)

インドを西から東へと横断し、ヒマラヤ山脈上空で円盤は止まった。突然、スクリーンに妙な記号が現れた。

「指令が入っている。スーパーコンピューターがどこかの誰かに円盤を目撃させるようにと指示している」

(へーー!それは面白いな。でも、どこの誰に?)

「わからない。とにかくコンピューターの指示に従おう・・もう着いたよ」

瞬間移動システムを使ったのだ。僕たちは森林の上空50mくらいのところに停止している。表示ランプは点灯している。それは僕たちが視覚可能なことを示していた。あたりは、一面深い雪で覆われていた。

「あぁ~ここはアラスカだ。」とアミは言った。

太陽が徐々に近くの海に沈み始めた。円盤は色を変えながら空中に大きな三角形の軌道を描き始めた。

(どうして、そんなことをするの?)・・とアミに聞いた。

「印象づけるためさ。あそこにいる人の注意を釘付けにするためにね。」

アミはスクリーンをじっと見つめ、僕は窓ガラス越しに彼の姿を確認した。遠くの木々の間に茶色の皮のコートを着て猟銃を持った男が見えた。とても驚いている様子で、こちらに向けて銃を構えた。僕は怖くなった。

「この男がこの光景を一生、忘れないようにする必要があるんだ。」

目撃したことを記憶させるだけだったら、こんなに驚かせなくても、ただ空を飛行するだけで充分だと思ったので、僕はアミにそう言った。

UFO25

「そうじゃない。今まで何千人もの人が我々の円盤を目撃している。ろくに覚えていない。もし目撃の際に、日常の問題に頭をわずらわせていたとすれば、例え我々を見たとしても、ほとんど目にも入らず、見えたとしても、とても高い確率ですぐに忘れてしまう。

(でもどうしてこの男が、僕たちの円盤を目撃する必要があるの?)

「それは、僕にもわからないけれど、たぶん、彼の証言は別のある興味深い人とか、特別の人に、あるいは彼自身にとって重要な意味をもつことになるのかもしれない。 セント・メトロ(感覚計)を当ててみよう!

スクリーンにこの男が映った。すると、ほとんど透明で胸の中心に黄金色の光がとても美しく輝いている。

(この光はいったいなんなの?)

彼の中にある愛の量とでもいうか、彼の精神における愛の強さの反映とでも言おうかな。それと同時にその人の進歩度をも表しているんだよ。彼の場合、750度あるね。」

(それはどういう意味なの?)

「彼の進歩度は、地球人にしてはかなり高い水準に達しているんだ。」

(進歩度?)

「獣に近いか、天使に近いかの度合いのことだよ」

(アミ、君は何度なの?)

「僕?僕は760度だよ。」

あの漁師よりもたった10度上なことに驚いた、

(でも君は地球人よりずっと進歩しているはずだよ)

「同じ地球人でも320度から850度くらいまでと、開きがあるんだ。僕の有利な点は地球人の知らないある種のことを知っているということだけで、地球にはとても貴重な人がいるよ。例えば、教師、芸術家、看護師、消防士・・・など他人のために自分の命を危険にさらして働くことは、とても高貴なことと思わないかい?」

(そのとおりだね。僕のおじいさんは核科学者でとても有名で博学な人だから貴重な人だ)

「ペドゥリート、また物事を混同しているね。君のおじいさんは沢山の情報を持っている。でも、それは必ずしもインテリとは限らないんだ。コンピューターは膨大なデーターを所持しているけど、だからといってインテリというわけではないだろう。武器はそれを賛美する人をいつか裏切るようになるんだよ。

脳

僕にとっておじいさんは英雄であり、とてもインテリなんだ。

「君のおじいさんは頭の中に優れたコンピューターを持っている。単にそれだけだよ。地球ではインテリとか賢者と言われている人は単に頭脳が優れている人を意味している。それは我々の持っているうちのひとつの脳だ。我々は脳を二つ持っているんだよ。」

(えっ!)

「ひとつは頭。これは言ってみればコンピューターで、でも胸にはもうひとつの別の脳を持っているんだ。目には見えないけれどちゃんと存在しているよ。こちらの方が頭より重要で、あの男の胸に輝いて見えた光のことさ。我々にとって、本当のインテリとか賢者というのは、この二つの脳の調和がとれている人のことを言うんだ。つまり頭の脳が胸の脳に奉仕するという形であって、地球のインテリのようにその反対ではないんだ。

右脳左脳

(じゃ、胸の脳が頭の脳より発達している人はどうなの?)

「そういう人は、善良なおバカさんとでも言おうかな。君の言う悪いインテリにとって、騙すのがとても簡単な人たちなんだよ。悪いインテリは彼らに良いことをしているように思わせておいて、結果的には人々を傷つけることをしているんだよ。知性の発達は、情緒の発達と調和をもって進んでいくべきなんだ」(中略)

「高慢は光を消す・・・それは悪の種だ。謙虚にするように心がけるべきなんだよ・・」

あっという間に、僕たちはヒマラヤ山脈に戻った。もうすぐ東京だ!

「アミ 小さな宇宙人:エンリオ・バリオス 著」(徳間書店)より

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