UFO11

≪円盤に乗った少年≫(青字は少年ペドゥリート)

警官に催眠術をかけて海岸まで来た二人。少年ペドゥリートは家に帰りたいといいます。アミは少年を家に返したら、その後、円盤に戻って別の星を一巡りしてくるつもりだと言いました。それを聞いた少年は「円盤に乗りたい!」と言い出し、アミの円盤に同乗して色々な場所に円盤旅行に出かけることになりました。

突然、足がふわっとした床の上に降り立った。足元にはじゅうたんが敷かれ、壁布の張られた明るく快適な空間にいる自分に気が付いた。善良な子供の大きな目をしたアミが目の前に立っていた。彼のやさしいまなざしが僕を落ち着かせ、彼が教えてくれたあの美しい現実に少しづつ戻らせてくれた。

アミは僕の肩に手をおいて、「落ち着いて、大丈夫だ。何も怖いことなんかないよ」と言った。やっと気持ちが静まり、話せるようになった時、少し微笑んで彼に言った。

(とてもこわかったよ。)

「それは君の野放しになった想像力のせいだよ。コントロールのできない想像力は、それが生みだした恐怖で人を殺すこともできるし、善良な友達ばかりの中でも化け物を生み出すこともできるんだ。我々の内部の生み出した想像の化け物をね。でも現実はもっと単純で美しいものなんだ。」

(じゃ、僕は今、UFOの中にいるの?)

「UFOは未確認飛行物体のことだけど、これははっきりと確認されている。これは空飛ぶ円盤だ。でもUFOと呼びたければそう呼んでもいいし、僕の事を火星人と呼びたけりゃそう呼んでもいいよ。ハッ、ハッ、ハッ」

「操縦室へおいで」 彼は僕を誘った。

とても小さいアーチ型の戸を通り、別の部屋へ行った。前の部屋と同じく天井がとても低かった。目の前に楕円形の窓に取り囲まれた、半円形の部屋が現れた。真ん中に三つの肘掛けのついたリクライニングチェアがあり、その前に計器盤があり、その向こうにいくつものスクリーンがあった。

椅子の大きさにしても、天井の高さにしても、子供用に作られている。あそこには、どんな大人も入ることができない。手を上げれば僕でも天井に手が届いてしまう。

(すごいなぁ・・・)と感動して叫んだ。

アミは中央の椅子に座り、僕は外を見ようと窓に顔を近づけた。窓ガラスを通して遠くの温泉場の光の輝きが見えた。わずかな振動を感じた。村はみるみるうちに小さく見えなくなり、星ばかりが目に入った・・・。(中略)

UFO10

(下からこの円盤は見えないの?)

アミは計器盤の楕円形のランプを指しながら

「ここのランプに光がつくと我々の円盤は視覚可能な状態になる。今のように消えている時は誰にも見えない。」

(見えないだって?)

「うん、ちょうど僕の隣に座っているこの人と同じようにね」と言って、横の空席を指さした。

一瞬、びっくりしたけど、彼の笑いからこれも別の冗談だとわかった。

(でも、どうやったら見えなくできるの?)

「自転車の車輪が速く回転している時、スポークは見えないだろう?あれと同じように、我々はこの円盤の分子が速く動くようにするんだ。」

(へぇ~、うまくできているんだな。でも下から円盤が見えたらいいのになぁ・・)

コンピューター

「勝手にそうするわけにはいかないんだ。この円盤が未開文明の世界にいる時は、視覚可能か不可能かの決定は、救済計画の方針に従って決定されるんだ。それはこの銀河系の中心にあるスーパーコンピューターが決めることなんだよ・・・

(よくわからないな。それどういうこと?)

「この円盤は、視覚可能か不可能かを決める指令を出すスーパーコンピューターと直結しているんだよ。スーパーコンピューターは何でも知っているんだよ。ところで、どこか行きたいところはないの?」

(じゃ、首都がいい!僕の家を空から眺めてみたいから・・)

窓から途中の光景を楽しみたいと思っていたら、あっという間に着いてしまった。100キロ移動するのに1秒すらかからなかった。これでは旅行するには呆気なさすぎる。

「前にもいったけど、我々は飛行ということはしないで、位置する・・これは座標のことなんだけど、飛行することもできないわけではない。」(中略)

町を一回りするように彼に頼んだ。まず、僕の学校の上を通った。校庭やサッカー場や教室が見えてきた。あとで≪空飛ぶ円盤に乗って上から学校を見た≫と同級生に話したらとても羨ましがられるだろうと想像した。町の上空をくまなく散歩した。

(昼でないのが残念だなぁ~)

「どうして?」

(君の円盤から昼間の町や風景が見られたらいいなと思ってね・・)

「じゃ、昼間にしようか?」とアミが言った。

(でも、いくら君の力でも、太陽を動かすのはちょっと無理だと思うけどね。それともそんなことまでできるの?)

「もちろん、太陽を動かすのは無理だけど、僕たちが動けばいい・・」

そう言ってアミは操縦桿を動かした。円盤はすさまじい速さで動き始めた。

「アミ 小さな宇宙人:エンリオ・バリオス 著」(徳間書店)より

(過去記事)
UFOの部品は【魂】がなければ機能しない(1/20)
UFOを操縦するために必要なもの(1/23)

【チーム・アグネス情報掲示板】
http://flg.jp/~agnes/joyful.cgi