大英博物館からの学芸員を招請して、久能山東照宮の西洋時計を調査してもらう企画はようやく、動き始めました。大英博物館の時計専門学芸員デービッド・トプソン氏が5月頃には、こちらにお見えになる予定で調整しています。

 その打ち合わせで、小西美術工藝社のデービッド・アトキンソン社長が27日、静岡へ来ていただきました。ちょうど、安心堂創業100年企画・展示会にアトキンソンさん所有の時計が展示されました。200年ほど前、ビクトリア女王から伯爵のアトキンソン家に贈られた貴重な置き時計とのことです。この時計と対になっているものが、バッキンガム宮殿にあるとのことです。わたしには、その価値が分かりませんが、多くの人を感動させることでしょう。


家康の時計-大英博物館、エルエスコリアルを結ぶ-時計展示1
 時の番人のような悪魔が鎌を持って、テンプル型のドーム屋根の上にいます。4つのぜんまいがあり、その1つは、1時間ごとに音楽、別の1つは、15分ごとに時を知らせるとのことです。


家康の時計-大英博物館、エルエスコリアルを結ぶ-時計展示2
 落合宮司がアトキンソンさんから、説明を受けています。このような貴重な時計が東京のアトキンソン家にはたくさんあるとのことです。パックス・ブリタニカと呼ばれ、大英帝国が世界を支配していた時代の名残りのようです。

 英国人のタイモン・スクリーチ氏の著書「江戸の思考空間」(青土社)に

「徳川家康が、ヨーロッパを歓迎するのは胸にを抱くようなものであると言ったのは有名な話である」とありましたが、わたしには、この意味がよく分からないため、アトキンソンさんにの意味を聞きました。は「裏切り者」の意味とのこと。家康はスペイン、ポルトガルなどのヨーロッパに対して、強い警戒心を抱いてことがわかります。この点については、また、後日、説明します。アトキンソンさんの時計のように時代を証明するものが残っていること、スペイン国王から贈られた家康の時計もその1つです。果たして、家康は当時、最強のスペインにどのように対応したのでしょうか?