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 何度目・・・いや、十数回目の演奏を終え、私は硬化笛から唇を離した。
 竜骨(中)に硬化薬グレートという薬品を染み込ませたこの笛は、吹くと自分と、自分の周囲にいる者の皮膚を一定時間硬くして、受けるダメージを軽減してくれるという。
 原理は知らない。だが、笛の音色を聴くと前と聴いた後では感じる痛みが格段に違う。我々にはそれで十分だ。

「ありがとうございます!」

「すまん! たすかるっ!」

 私の目の前でヤツと対峙するハンターたちから感謝の言葉が聞こえる。
 その皆の声の強さ、勢いに私は一人密かに胸をなでおろす。 

(さすがは歴戦のハンターたちだ…心はまだ折れていない)


 戦いは長期戦の様相を呈していた。


「がんばりましょう! あともう少しです!!」

 ランス「角槍『ディアブロス』」を構えたアイコが盾をかざしながら叫んだ。周りにいた二人のハンターから、「おう!」「わかりました!」と声が上がった。
 そんな彼女たちの前には、口から黒い煙のような息を吐き、猛々しく怒り狂うヤツがいた。


 竜盤目 重殻竜下目 角竜上科 ブロス科 

  角竜『ディアブロス』


 砂漠の王者として、このセクメーア砂漠北部の生態系の頂点に君臨する飛竜を、私とアイコは二人のハンターと共に討伐に来ていたのだ。


「くるぞ!」

 大剣『ブラッシュデイム』を構えたハンターが叫んだ。
 正面からヤツが来る。頭部に生やした二本の巨大な角を低く、地面すれすれに構え、突撃してくる。

「来いっ!!」

 凛とした声と、

がぎっ

…という鈍い音が同じ場所から続けて聞こえる。
 見れば、アイコがディアブロスの突撃を正面から迎え撃っていた。
 角槍『ディアブロス』の長い柄の端を大地に突き刺し穂先をヤツの方に向ける。角竜の背甲から削りだした堅く、巨大な盾を身体全体を覆うように構える。

 そこにディアブロスが突っ込んできた。

 同種の甲殻がぶつかり、こすれる鈍い音が響く。
 ディアブロスの巨大な脚が蹴った地面はえぐれ、砂塵が舞った。
 それでも、アイコはディアブロスの突進を受け止め、その勢いを封じていた。

「いくぞおぉぉぉぉぉっ!」

 突進の勢いを殺がれ脚を止めたディアブロスに他の二人が突っ込んで行く。アイコも胴体下に潜り込むと、ディアブロスの比較的表皮の薄い腹部にランスを繰り出す。
 私もプリズンハンマーを腰溜めに構え、ディアブロスに向けて走りこむ。

(手強い…しかし、それがいい!)

 3人のハンターの猛攻をたじろぎもせず受け止めるディアブロスの姿に私は血が滾るような感覚に襲われていた。
 
 ドンドルマからこのミナガルデに招聘され、私のハンターランクは一度、初期に戻った。
 今まで戦うことが出来たのは、クック、ゲリョスといった比較的倒すのが簡単な飛竜が中心だった。

 だが、上位ランクに復帰した今、戦うことが出来たこのディアブロスは死力を尽くすに値する強敵だった。

 狩人としての血が騒ぐ

 戦士としての魂が燃える

 私は今、仲間と共に強敵に立ち向かう満足感に包まれていた。 

 
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時間切れTT ではノシ