先日、当店の販売する制服スカートを製造するメーカーさんにお願いして、工場見学をさせていただきました。国内で作られており、高品質を謳っているメーカーさん「KURI-ORI」さんですので、その品質を目で確かめたかったのです。
神戸より、はるばる茨城県まで(!)参りました。と言っても、飛行機で神戸空港から茨城空港へ行くので、1時間ちょっとです。空港から30分ほど、車で送迎していただきました。
▲工場の外観と晴れた空。
▼工場に入って最初に案内していただいたのは、原反(げんたん)の倉庫。
原反とは、衣類の元となる生地をロール状に巻いたもの。制服のスカートの場合は、チェック模様や紺の無地やグレーの無地などがありますよね。この工場は、制服スカート専門の工場ですが、当店の扱う自由服だけではなく、様々な学校の指定制服も作っているので、原反には、様々な学校名が記されたものがいっぱい。みんなそれぞれの学校で、違う生地を使っているのです。もちろん、当店の扱う自由服のスカートの生地もたくさんありました。
▲これは延反機と呼ばれるもの。スカートの生地を延ばして、裁断していきます。チェック柄は、その模様に応じて裁断するポイントが異なるため、自動で裁断できず、模様の位置を目で見ながら、手作業で裁断するそうです。
▲ロックミシンで、裁断した生地の端がほつれてしまわないように処理していきます。
▲まつり縫い職人さん。まつり縫いとは、生地の裏から縫い目が見えないように縫う縫い方です。ロックミシンでロックした端をスカートの内側に折り込むのです。
そして、ここからが見もの!!スカートにプリーツを付けていくプロセスです。初めて見たので感動しました!!
▲この、ハリセンの元みたいなの、なんだか分かります? これが、プリーツ型紙とよばれるものなんです!この型紙で生地を挟むんです。熱と水に強い特注の紙でできているそう。
▲このように生地をプリーツ型紙の上に載せます。何の変哲もない作業に見えますが、これはスカート作りにおいて最も重要な作業手順なんです。
なぜかと言いますと、チェック模様の生地の場合は、プリーツが折りたたまれたとき、模様がずれていたら見た目に美しくありませんよね。ですから、折りたたまれた状態でも開いた状態でも美しく見えるよう、その生地によって厳密に合わせていくのです!
なので、プリーツの幅や数は、その柄を最も美しく見せるため、生地によって全て異なります。その生地に特化した折り目が必要だからです。柄がかわいくてもプリーツで印象が変わるので難しいんだそう。
ですので、このプリーツ型紙というものは、各学校・各製品に応じて作られ、保管されています。
▲これが全て、プリーツ型紙のストック! 膨大な数です。
▲プリーツ型紙を作る職人さん。ひだの間隔に合わせてカッターで折り目を付けていきます。人間CADとよばれているそうです。なにしろ、プリントやカットは、プロッターでできるんですが、折り目を付けるというのは手作業でしかできないからだそうです。
話を戻しますと、そのプリーツ型紙の上に生地を載せ、精密に柄を合わせた後、
▲上から同じ型紙をかぶせ、
▲位置合わせ後、
▲このように、折り目に沿って折っていきます。この時点で、生地は、正しい折り目で折りたたまれています。
▲プリーツ型紙で折りたたまれた生地を5枚重ね、すのこではさみ、太い輪ゴムで止めます。この輪ゴムの止め方にしても、その硬さを生地によって調節し、プリーツ品質を確保するそうです。隅々まで職人技が行き渡っております。
▲このすのこをたくさんまとめて台の上に載せ、釜に入れます。
▲ここでプリーツするスカートはウール生地。ウールは天然素材で型が付きにくいため、温度管理を厳密にするそうです。
まずは釜の中を真空にし、105度の蒸気で20分間蒸します。真空にすることで、蒸気が生地の中まで入り込み、プリーツの型がきちんと付くそうです。
▲加熱が終了し、釜から出した生地たちは、台の下のファンで冷やします。
▲型紙から出した生地には、すでにプリーツ型が!!!
▲こうやってようやく生地が完成するのです!!
▲一方、ベルト部分やポケット部分は、上記とは別に裁断します。これも、チェック柄を厳密に合わせるため、精密な手作業となります。実に手間がかかる作業なんです!
ようやくこれで生地が全て揃い、縫製に入れる段階に。大変ですね・・・。
▲残念ながら今は、閑散期のため、縫製するネタがなかったので、学校の展示会で使う、制服のサンプルとなるミニチュアモデルを縫っていただきました。小さくてかわいい!
▲ベルト部分の縫製。プリーツをたぐり寄せて、ただ縫うだけ・・・・のように見えますが、決して違うのです!
「御社の製品はなぜこんなにヒップに丸みがあるのか」と言われることがあるそうです。その秘密を伺うと、実際に縫製して見せていただきました!
プリーツのひだひとつをたぐり寄せ、縫い、またたぐり寄せ、縫うという感じで、ひだ一つ一つを丁寧に縫っていきます。その際、ヒップの丸みを出すため、立体的に縫製するのだそうです。この立体感を出すためにウエストのひだをつまんでいく作業、ここがポイントでもっとも難しい点だとおっしゃいます。
高品質のスカートの秘密は、こんなところにもあったんですね。
入学直前の3月、4月などは、一日一人70着も縫い、手もしびれてくるのだそうです。
こうやってできる制服スカートですが、ジャケット(ブレザー)も高品質なものはウールでできています。
なぜウールを使うかと言いますと、ウールは天然素材で、ウール自身が呼吸するので、通気性に優れ、また、自然な伸縮をする、贅沢な素材なんです。
ほかにも、プリーツが取れにくく、また、生地がしっかりしているため、裏地を使う必要がないのも特徴だそうです。裏地は自転車をこいだりする時に足が開かなくなってじゃまなので、ない方がいいのです。
学生服ほど贅沢な生地を使ってる服は、日本にはほかにはないそうです。そのくらい、贅沢に作られているのです。やはり毎日着るものですので、着たときのシルエットが美しく見えるように設計されています。ジャケットなどは、下にニットを着る前提でシルエットを作って美しく見せるようになっているそうです。このように、飽きの来ないデザインを心がけて作られているのです。
▲今回、工場を案内していただいた、専務取締役の脇大八郎さま(左)、澤田喜代子さま(中)、澤田俊寛さま(右)。ありがとうございました!