彼女が僕に嘘をついて、誰かと逢っていました。
僕は違法な手を使ってそれを知ってしまいました。
僕を愛してくれているのは分かっていましたが、度重なる“優しい嘘”に、僕の弱いハートが耐えられませんでした。
家に帰ってから僕に「たまらなく逢いたい」と、白々しいメールを送ってきた彼女に返信しました。
「僕はもう逢いたくない。もう二度と、部屋にも店にも来ないで下さい」
すぐ返事が来ました。
「どうしたの? どうして急にそんな事いうのよ!」
「自分の胸に聞けば? とにかくもう終わりだから」
「何があったの? まずそれが先でしょう?」
その後もシラをきって、むしろ逆ギレのメールが来ていましたが無視していました。
今までも、隠し事をしている時はいつもまず逆ギレのパターンでしたから、
(あぁ・・・やっぱり)と思いました。
しばらくして彼女がタクシーでお店にやってきました。
知らん顔をしていると、
「kakくん・・・ごめんなさい。嘘ついてごめんなさい」
叱られた子供のように、ペコリと頭を下げてきました。
こっそり逢っていたのは、まさかのIさん(元カモ客)でした。
お店のために嫌々付き合っていたはず。メールや電話も無視して、きっぱり縁を切ったと言っていたはずなのに・・・
彼女が言うには・・・
彼女に無視されても諦めきれないIさんが、今度は娘にメールしてくるようになった。
ある時、Iさんから「クリスマスプレゼントを買ったから渡したい」
と言われた娘に、
「プレゼントは欲しいけど行くのダルいから、お母さん行ってきてよ」
と頼まれて嫌々逢いに行った・・・
・・・とそういう事だった。
「私が娘に甘いのはkakくんもよく知ってるでしょう? ホント、受け取ってすぐ帰ってきたのよ?
心配してるような事は何もないのよ?」
「じゃ、どうして嘘つくの? 後ろめたいからでしょう?」
「違うわよ! 言ったらkakクン、行っちゃダメって言うでしょ?」
・・・確かに。彼女の言うとおりでした。
娘の話も、いかにもありそうな事です。
彼女は言います。
「こんな事言ったら怒るかも知れないけど、自分で悪いことした意識が実はあんまりないの。
だって、後ろめたい事何にもないし・・・。
だから、別れるとか、全然納得できないの・・・こんなに愛してるの・・・分かって!」
上手く言いくるめられた気がしないでもありません。
でも、こんな寒い夜更けに慌てて来てくれたのが嬉しかった。
何だかんだ言っても、こうやって引き止められるのを期待していたかも・・・。
その夜は彼女に抱かれました。
あんなに終わりにしたかったのに、僕の中途半端な決心は、こうしてまたしても崩れ去ってしまいます。