おばあさん「聞いてちょうだい、一昨日の晩、ロビンちゃんたちがね、映画館前に屋台カフェを開いてくれたのよ。

みんな、大助かりしたわ

」

トチーちゃん「まあ。ロビンちゃん、遂に屋台カフェまで始めたの？

」

おばあさん「ええ。果樹園の向こうに、この村に一軒きりの小さな映画館があるでしょ。

あすこの館長さんが、とてもご親切でね、月に一回、一晩中、世界中の有名な映画を、無料で上映して下さるのよ

勿論、著作権の消滅した、古い映画ばかり。でも、この辺の高齢者は、何年もお一人暮らしの方もいるからね。皆、お互いの生存確認も兼ねて、それを楽しみに集まって来るのよ。懐かしい名画と、懐かしい顔ぶれに逢いにね

📽️

でも…映画館の中の売店だけはいつも通り、夕方になると閉まってしまうの。売り子さんが5時に仕事を終えて帰ってしまうのだから、仕方のないことね😥

それ以降は、夕ご飯や飲み物が買えなくて、ちょっと不便なの…ってお話を、ロビンカフェでしてみたらね。

器用なクックちゃんとシスキン坊やが、早速、屋台カフェのテントを作ってくれて、それをラークが、軽トラックで映画館の前に運んでって、ロビンちゃんとマレットちゃんが、そこでココアや軽食を販売してくれるようになったの

☕🥪

出入りは自由だから、皆、一本の映画が終わると、外に出て、そこで食べ物を買うわ

」

ポムちゃん🍎🍏「へえ、そりゃあいいね。

ロビンちゃんたちにとっては、カフェの宣伝にもなるし、売り上げも伸びるし、おじいちゃんおばあちゃんたちも、皆、大喜びだろうし

」

おばあさん「そうなのよ。私とご一緒していたスターリングのお爺さんも、とても喜ばれて『キングフィッシャーさんとこの子供らは、みんな良い子たちだなあ』と感心していたし、映画を観に来た人達は、みんな大喜びで、トーストエッグや焼き菓子や、ハーブティやココアを、そこで買っていたわ

」

トチーちゃん「ロビンちゃんは、今年のバミューダーさんのテルミンコンサートツアーも、聴きに行きたいって言ってるから、その為の資金が必要ですものね

」

バミューダー「いや、それは僕が、ロビンちゃんのことも、ファンの皆さんのことも説得して、ロビンちゃんがまだ子供のうちは、特別に無料で招待させてくれって、頼み込んだんです

ファンの方々は、元より、すぐに賛成してくれました。ロビンちゃんは、僕の息子みたいな立場の子だって、みんな認めてくれたんです

✨️

ロビンちゃんはそれでも、それじゃ不公平だ、僕も皆と同じく、自分で稼いでコンサートチケットを買うんだ

って言い張って、なかなか聞きませんでしたが、僕が是非にと頼んだので、漸く承知してくれました😅

だから、ツアーの最後に、この国の首都で開かれるリサイタルには、ロビンちゃんの分の席が、すでに用意されています

✨️」

ポムちゃん🍎🍏「ああ、良かった。

うん、やっぱり、それが自然だよね

」

幽子「ただ、ロビンちゃんは、コンサート後のバミューダーファンの集いにも、絶対参加したい、その参加費だけでも、僕がちゃんと働いて稼ぐんだって、はりきってるんだよね

バミューダーファンのみんなと、去年、コンサートの後に、皆で食事会をして盛り上がったじゃん。

その会がとっても居心地よくて、ロビンちゃん、ファンクラブのみんなのことも、大好きになったみたいなんだよね。お友達も沢山出来て、みんなもロビンちゃんに是非、また参加してほしいって言ってる

勿論、バミューダーファンの皆は、色々考慮してくれて、ロビンちゃんは未成年料金で、正規の半額くらいなんだけど、まだ小さなロビンちゃんには、それでもかなりの金額になるから、一生懸命頑張ってるんだね

」

去年のリサイタル。

『ロビンちゃん、バミューダーさんのテルミンリサイタルを聴きに行く。』今日見つけた雨の中の赤い実。綺麗。なんて言いましたっけね、これ…？（【後日】思い出しました。ツリバナ）トチーちゃん「ロビンちゃん、バミューダーさんのテルミ…

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ポムちゃん🍎🍏「わぉ、凄いや

💕

もう完全に『推し活』だね

✨️」

さつき君「その参加費も、まだ未成年ゆえ、頼めば進んで出資してくれる者も多々あろうに、敢えて自ら稼ぎ出さねば気が済まぬとは、ロビン殿は、良くも悪くも、誠に生真面目で、頑固なところがあるでござるな

✨️」

トチーちゃん「そうなの☺️💖健気な子のよ。

そのくらいのお金なら、正直、みんなロビンちゃんのバミューダーさんへの情熱を知っているから、私たちも、頼まれれば喜んでお金を出すし、カフェを利用してくれたおじいさんおばあさんたちだって、一言話せば、お世話になったお礼にと、喜んでお金を集めて下さるだろうと思うわ。バミューダーさんファンの方々も、また、みんなでお金を集めて下さるかもしれないわね😌

ただ、ロビンちゃんの、あの融通きかない堅実さが、カフェを経営する上で、多くのお客様たちから、強い信頼を勝ち得てるみたい

✨️」

ラーク「あの子、カフェを開きたいと自分で言って、兄さんのクックちゃんが一生懸命にお店を作ったら、その日から毎日、店内の掃除も料理の研究も決して欠かさないし、マレットちゃんと一緒に、時々、僕の畑や果樹園や家畜小屋にやって来ては、食材の味や育ち方を確認しているし、家でしている勉強の成績も、絶対に落とさないんですよ。これは凄いことです

✨️

僕とも『試験前など、料理やココアの味や質に支障が出そうな時は、決して無理せず、キッチリお店を閉めること』と約束して、契約書も交わしているのですが、それもちゃんと守っています。

バランス感覚も、非常にいい子です

」

幽子「ロビンちゃんは、僕は大学には進学しない、ここでずっとカフェを続けながら、ゆくゆくはパティシエや調理師の資格を取るつもりなんだって、あたしにも話してたよ

」

ラーク「はい。

マレットも、ロビンちゃんのその夢は、とても大事なものだって言って、一生懸命協力してますよ

💕

マレット自身、ここに来た時、それまでの境遇が酷かっただけに、オドオドと怯えていて、子供らしさのない、暗く悲しい表情をしてましたが…

今は生まれ変わったように、表情がイキイキとして、クックちゃんやロビンちゃんたちに引っ張られて、ロビンカフェに来るお客さんたちとも、どんどん積極的にお話して、皆に可愛がってもらえて、楽しそうに過ごしてます

✨️」

トチーちゃん「…時々、クックちゃんやロビンちゃんが、最初は浮浪児としてここにやって来たこと、マレットちゃんが、都会の学校で、いじめや嫌がらせに苦しんでいて、貧困に陥ったお母さんに預けられて来たってこと、シスキン君も、ご両親を亡くしてこっちに来たんだってこと、ともすれば、忘れてしまいそうになるわね

境遇が変われば、子供は本当に変わるのね。今はみんな、毎日元気いっぱい過ごしているし、あの子たちなしでは、この村はもう、一日だって回らないわ

」

おばあさん「本当ですよ。夕飯の心配がなくなったから、普段は家に閉じこもったままの、一人暮らしの方々まで、次々と誘い合わせては、映画館に集まってきてね

お茶やジュースを飲んで、お菓子や軽食を食べながら映画を観て、ちょっと休憩したくなったら外に出て、お喋りをして、楽しく過ごしましたよ

若い頃、街に出て行った私の幼馴染たちも、いつの間にか、大半はこの村に戻ってきてたのね

」

ラーク「もっとも、ロビンちゃんたちもまだ子供で、夜遅くまでは営業させられないので、屋台カフェは８時でクローズだよ、と言ったんですけどね

そしたら、村の若い連中が『こんな小さい、それも他所からこの村に来た子どもたちが頑張ってくれてるのに、僕らが何もしないわけにゆきません』って言い出して、８時以降はその若者たちが代わって、ロビンちゃんたちが出せない、コーヒーやワインやビールなんかを提供してくれたんですよ

」

おばあさん「本当に楽しかったわ。来月の映画の日が、今から楽しみで仕方ないわね

✨️

私たちも、ここまで楽しんでおいて、まさか全くの無料ってわけにはいかないわね、って言って、映画館長さんに、お心ばかりと言って、映画館を貸し出してくれたお礼のお金を、お渡しするようにしたわ

…勿論、強制ではなく、お払い出来る人だけね。

こういう素敵な催しは、なるべく長く続けて頂きたいもの😌💖」

さつき君「その映画館の主殿も、無償にて映画館を貸し出し、村の為に尽くすとは、奇特な者でござるな

✨️」

おばあさん「…三十年位前だったかしら。あの映画館に、雷が落ちて火事になり、建物の半分が焼け落ちたことがあったのよ

映画が低迷期で、ただでさえお客が減って潰れそうだった所に、その不運な事故…、あの映画館を継いだばかりだった館長さんは、やむなく、映画館を廃業しようとしていたの

その時、みんな『村一軒きりの映画館を潰すわけにはいかない』って、修理費を出し合ってね

当時まだ若かった私の夫のフェニックスも、見習いから、大工になったばかりのシスキン坊やのおじいさん…スターリングさんも、修理を手伝って、皆で、映画館の建て直しに、力を尽くしたの🛠️⚙️🗜️🧰

今の館長さんは、その時の館長の息子さんなのよ。その当時、彼は、まだほんの少年だったわ✨️」

トチーちゃん「まあ、そうでしたの…☺️

善意が連鎖して、どんどん広がりを見せていっているのね。素敵なお話だわ

💕」

マルシェテント。テーブル部分はアイススティック、幌の柱は竹串、屋根はトイレットペーパー芯に100均クラフトバンドを張って半円にし、フェルトで飾りを。車輪も付けたかったけど、諦めた。テーブルや看板についてるクマちゃんは100均デコパーツ。

木箱もアイススティック製。いずれも100均のアクリル絵の具で着色しています。

・・・・・

これまでのお話

『「ポムちゃんのミニチュアハンドメイド劇場」シリーズ総まとめ。』あちこちのテーマに散逸してしまっていた「ポムちゃんのミニチュアハンドメイド劇場」シリーズ記事だけをうまくピックアップする方法を、ず～っと模索していましたが、…

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登場人物＆設定

『登場人物＆設定。（ポムちゃんのミニチュアハンドメイド劇場）』Yuniのミニチュアハンドメイド劇場、後から書いたのは大体、テーマ「ハンドメイド」の中にまとまっているのですが、初期のモノがバラバラしています。(歴史や文学、…

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「ラ・ヴィオレテラ（すみれの花売り娘）」ホセ・パディーリャ・サンチェス

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春を告げる小鳥のように

マドリードにすみれ売りの少女がやって来る

その呼び声は、さながらツバメのよう　

さえずる、さえずるわ

どうぞ、お兄さん、この造花を買ってちょうだい

この花に、本物以上の価値はないけど　

胸のボタン穴に挿して、皆に自慢するには

丁度いいはずだわ

幸福に溢れた少女の瞳　その微笑み

皆が言う、それはマドリード娘の気質

ウットリと瞳を細めれば、透き通るようなあどけなさ

それはあなたの心を灼き尽くすわ

あなたの心を灼き尽くすの

どうぞ、お兄さん、この造花を買ってちょうだい

この花に、本物以上の価値はないけど　

胸のボタン穴に挿して、皆に自慢するには

丁度いいはずだわ

胸のボタン穴に挿して、皆に自慢するには

この花の枝が、丁度いいはずよ

チャップリン「街の灯」。今観ても全く色褪せることのない、不朽の名画。

この映画内で、この曲が使われています。スペイン演劇、クプレから生まれた名曲。

チャップリンは映画で使われる殆どの曲を自作してますが「純情可憐な花売りの少女」を表現する為、ここは敢えて既成曲を充てました。

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大貫妙子氏が「美しい人よ」という題でカバーしていましたが、歌詞は全く原型をとどめず、日本独自の「作詞」。

歌詞対訳はネットで調べてみたけど、ひとつも出てこなかった。

…マジか～い、これほど有名な曲なのに。Yuniのいい加減な対訳がネット初？

・・・・・

ボソッとYuniの独り言、大人の話なんですが…

…某経済大国の大統領が、まさかここまでの馬鹿だとは思わなかった。

夫の勤めている会社が、関税のせいで、思わぬ大打撃を被っています。

あの国は本っ当、右に傾いても左に傾いても、ガキ…

正直、もう日本が学ぶとこ、何一つないと思います

ロビンちゃんの移動カフェ。