マレットちゃん。「…むか～しむかし、大昔のお話です。

ある森の中に、沼があり、そこに大きな大きなウナギが棲んでいる…という言い伝えがありました」

クックちゃん「マレットちゃん、最近、民話や伝説を語り出す時、凄くイキイキするようになったよねっ

」

ロビンちゃん「ううう…。ぼ、僕、部屋出てていいかな…

怖いお話だけは、ホントに苦手なんだよぉぉ…」

ユールニッセ「私だって、怖いお話は苦手なほうだけど、何だか面白そうじゃないの。ロビンちゃんも、ちょっとだけ、聴いてみましょうよ

怪談とは言っても、昔話でしょ。そこまで怖いわけがないわよ」

マレットちゃん「…その村の若い衆は、皆、その伝説の大ウナギを、一目見たくて見たくてなりませんでした…」

・・・

野良猫「おう、ぬこたん、その噂の大ウナギってやつよぉ、一度、皆で探しに行ってみねえか」

野良猫「俺らほどの背丈があるっていうじゃねえか。捌いて食ったら、何日くれえ食い続けられるかな。

熱々のウナギの蒲焼…」

紋白「えっ、伝説の大ウナギを、まさかあんたたち、殺して食べる気なの？

ちょっとみんな、やめときなよ。

…ねえ、ぬこたん、あんた、やめさせてよ😟💦」

ぬこたん「う、うん。…なあ、おめーら、紋白の言う通りだっぺ。

そんなべらぼうもねえ、えげえ（大きい）ウナギ、その沼の神さんかもしんねえ。

んなもん、勝手に取っ掴めえて食ったら、罰さ当たっかもしんねえべや」

野良猫「でもよ～、ぬこたん、おめえだって、ガキどもと嫁さんに、美味えウナギ、一生にいっぺんくれえ、たらふく食わしてやりてえって、思わねえか

」

ぬこたん「そ、それは…😟💦」

紋白「冗談じゃないわ。あたいは要らないよ！…絶対にやめてよ、ぬこたん！💢

子供たちにだって、一口も食べさせやしないわよ。全くもう、縁起でもない…」

・・・

マレットちゃん「そんなわけで、大ウナギを本気で掴まえようと言う者は、なかなか現れませんでしたが、それでもある晩、とうとう好奇心を抑えきれなくなった若者たちは、こっそりと数人で連れ立って、大ウナギの棲み家だという沼に出かけてゆきました」

・・・

ぬこたん「なるほど、この沼が大ウナギの棲む沼け。

あいよ、もう沼さ見たんだから、おめーらも十分、満足しただろーが。…さっ、もう帰えっぺよ」

野良猫「おいおい！ぬこたん、そりゃねえよ。俺らまだ、大ウナギの尻尾すら、拝んじゃいねえだろうがよ」

ぬこたん「んなもん、ただの言い伝えだっぺ。

もう沼さ見たんだから、いいだろう。俺、もう帰るよ。さ、おめーらもよ、帰えっぺ帰えっぺ」

野良猫「…ちぇっ。何なんだよ、もう。折角ここまで来たってえのに…」

野良猫「おおい、ちょっと待った！

とろろ汁の出店があるぞ、あすこで一杯、食ってから帰ろうぜ」

野良猫「そうだ、ぬこたんもいくぞ」

ぬこたん「ええ…やだよ。俺、紋白に内緒で、ここさ来てんだぞ😟💧

おめーら、いい加減にしろよなあ。…ああっ、もう…」

・・・

マレットちゃん「若者たちが、とろろ汁を注文し、運ばれてくるのを待っていると、そこへ、この辺りでは見たことのない品格をまとった、白髪白髯の背の高い老人が、ふいに姿を現しました…」

・・・

野良猫「おう、この土地のもんが来た。あの爺さんにちっと訊いてみようぜ。

…な、爺さん。訊きてえことがあるんだけどよ。大ウナギが住んでるって伝説の沼っていうのは、ここのことだよな？」

野良犬「いかにも、さようじゃ。…おぬしら、大ウナギを見に、ここへ来たのかの」

野良猫「おう、そうよ。俺らほどの長さ太さもある、ドデッケえ化け物ウナギだってえじゃねえか。

一度でいいから、見てみてえよなぁ」

野良犬「…やめときなされ」

野良猫「えっ？」

野良犬「見るのはいい、だが、おぬしらは捕まえて食べることを考えておるな。やめときなされ」

野良猫「あ、まあ、ちっとばっかりまあ、それも考えてたけどさ。

さ、さ、流石に食わねえよ、そんな怪物みてえな大ウナギ。…なあ、ぬこたん💦」

ぬこたん「なぁ、爺さん。…その大ウナギってえのは、沼の主か、神さんかなんかなのけ？」

野良犬「知らぬ。だが、大ウナギを殺して食うなどという殺生をせずとも、ここには食べる物は、溢れておるじゃろうに」

野良猫「いやいや、うん、その通りだよ、爺さん。まさか俺らも、そんな伝説の大ウナギを、取って食ったりはしねえから。

俺ら、とろろ汁食ったら、すぐ村に帰るよ。

だから、なぁ、そんな渋い顔せずに、安心してくれよ。…な、な、爺さん」

店員「へい、お客さんたち、お待ち。とろろ汁が出来上がりましたぜ」

野良猫「ホントに大丈夫だから、俺ら、そのウナギ、食わねえから。な、爺さん」

野良犬「………」

ぬこたん「…爺さん、こいつらが爺さんに、不快な思いささせて、済まねえな。

詫びと言っちゃぁなんだけどもよ。俺らと一緒に、とろろ汁一杯、食ってかねえけ」

野良猫「そうだよ、一杯やろう。…な、爺さんもよ」

野良犬「おぬしらは、本当に、大ウナギを掴まえないでいてくれるのじゃな。

…かたじけない、それで安心出来ましたよ。…それなら、馳走になりますじゃ」

・・・

マレットちゃん「暗く打ち沈んだ顔をした老人に対し、悪いことを言ってしまったと思った若者たちは、老人にとろろ汁をふるまいました。

老人は喜んで、とろろ汁を食べ終えると、安心した様子で、帰ってゆきました。

…若者たちは、最初のうちは、老人の言う事を大人しく訊いて、そのまま帰る予定でいましたが、やはり、伝説の大ウナギを一目見たいという好奇心に打ち克つことは、出来ませんでした。

若者の一人が必死に止めるのも聞かず、彼らは、沼に入り込んでゆきました」

・・・

野良猫「…あ、いたぞ、こいつだ、伝説の大ウナギだ！

見ろ、なんつーデッけえ体だ！本当に、俺らと同じくれえの丈と胴回りがあらあ」

ぬこたん「おめーら、もう充分に見ただろ。

帰るぞ。ほんとに帰るぞ。回れ右っ！💢」

野良猫「はっ、何言ってんだよ、ぬこたん。ここまで来て、手ぶらで帰るって法はねえや」

ぬこたん「なっ？！おめえら、あの気の毒な爺さんさ、騙したんけ？

…おい、やめろっ、マジでそいつ、捕っちゃダメだっぺよ！！」

野良猫「いーんだよ！これ一匹掴まえたら、十日間くれえは、村中のもんがウナギの蒲焼食い放題だぞ。

そうなったら、あの爺さんのことも探し出して、美味え蒲焼を、たらふく食わせてやりゃあいいじゃねえか。そしたらきっと爺さんだって、考えが変わるぜ。

見ろよ、脂が乗った、美味そうなウナギだ。こんなにデケえのに、しっかり身がしまってら。こんなの俺、見たことねえや」

・・・

マレットちゃん「とうとう彼らは、ウナギを掴まえ、絞めてしまいました。そして一人が、小刀を取り出しました」

・・・

ぬこたん「ああっ…！なんてことを。

…信じらんねえ。ごじゃっぺだ、おめーらは、みんな…」

野良猫「よしっ、やっと暴れなくなったぞ。

さあ、こいつの腹を割いて分けて、笹の葉で包んで、村に持って帰ろうぜ。こう縦に小刀を入れて、スッとだな…🔪

…えっ？」

野良猫「あっ………！！」

ぬこたん「…う、嘘…。嘘だろ…」

・・・

マレットちゃん「若者たちは、顔色を変えて立ち竦みました。

裂いた大ウナギの腹からは、さっき老人と一緒に食べた、あのとろろ汁が、どろりと大量に流れ出て来たのです」

・・・

ロビンちゃん「…ひいいいいっ！！

」

ユールニッセちゃん「ギャーッ、こっ、怖いっ！

何、その話、流石に怖すぎるんですけど！…それ、どこの国の伝説なの？！」

マレットちゃん「あ、Yuniが住む茨城県土浦市に伝わる怪談話です

日本三大湖のひとつ、霞ケ浦があるので、あの辺一帯の市町村は、昔からウナギの産地なんですけど、当時は土浦市文京町辺りに、下田の沼っていう沼があったらしくて、その沼に纏わる怪伝説で…」

クックちゃん「怖いというより、薄気味悪くて、めちゃくちゃ後味の悪い言い伝えだね…」

マレットちゃん「大ウナギを殺してしまった若者たちは、震え上がり、一目散に村に逃げ帰りましたが、それから暫くの間、皆、床に寝付いたきり、起き上がれなくなってしまった…ということです」

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「交響曲『涅槃』」黛敏郎

黛敏郎：涅槃交響曲黛敏郎 (1929 - 1997) ：涅槃交響曲 - 岩城宏之、東京交響楽団、東京混声合唱団（1998年7月2日、サントリーホール）　Toshiro Mayuzumi (1929 - 1997) - "Nirvana Symphony"Hiroyuki Iwaki, Tokyo Symphony Orchestr...

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被災した能登の品「買って応援」ご紹介しています。

『買って応援出来そうなところを探してみました（２０２４/１/１能登半島大震災）。』石川県知事からのメッセージです。今は、まだ能登に災害ボランティアには、簡単には行けない段階です(志ある方はまずご登録を)↓ 📢#災害ボランティア参加を考…

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静かな夜、雪が降っています。

皆さん、どうぞ、温かくしてお過ごし下さい

冬の夜の怪談。