久しぶりに長編小説を読みました。

最近話題の「海賊と呼ばれた男」で本屋大賞を受賞した百田尚樹のデビュー作『永遠の0』。


冒険クイズキングダム・ゆけ!勇者にハマりながらの日常


これから読むであろう人、今年放映の映画を見る人のためにストーリーには触れないでおきます。

で、読後の感想は、ストレートに感動し興奮し、熱くなった作品でした。秀作です。

正直、太平洋戦争ネタはあまり興味が無かったというか自分自身避けていたのですが、初めて読んでみて太平洋戦争というものに対する考え方そのものも変えさせられた作品でした。

僕が、小説に限らず、映画などでも戦争物を嫌う理由としては、人が死ぬことへの悲しさや虚無感、戦争というものの理不尽さなど、想像できる全ての巨大なネガティブな感情がそこには存在するからです。当然、それらに目を背けてはいけないという考え方もあるのでしょうが、僕自身は、できればそういった負の感情に好んで身を浸したくないというのが本心だからです。

この小説は、驚いたことに、負の感情を見事にカタルシスへと導いてくれます。戦後を経て、高度成長、そして平成となった現代において、その70年という年月の重みが、まるで一人の人生のような重みとして、全てを受け止めてくれるのです。悲しいこともあったけど楽しいこともあった。そう、物語が語ってくれているようです。

フィクションではありながら、ノンフィクションとも呼べる小説ではないでしょうか。

ちなみに、特筆すべきがデビュー作でありながら、ムラの無い文章力と構成力です。作家のデビュー作というのは良いも悪いもが詰まっていて、その作家の一番熱い作品でありながらも、まだ洗練されていない荒削り感が必ず出るものです。しかし、こちらはそれを感じさせないベテラン作家のような表現力も秀逸です。

これに続いて読みたい『海賊と呼ばれた男』。

しかし、しばらくはこの作品の余韻に浸っておきたくもありますね。