4月の声を聞く間もなく桜は散ってしまいましたが、代わりにツツジの花が満開に近づいています。サツキとも呼ばれるようにかつては5月の花というイメージがありましたが、これも温暖化の影響のひとつなのでしょうか。。

さて、ツツジといえば「蜜」を思い浮かべるかたは多いと思います。いまの子供はどうか知りませんが、筆者が子供の頃はツツジの蜜を吸うことは当たり前でした。植え込みのツツジの花を無遠慮にちぎっては吸い、友達同士で「○○ちゃんちの前の木は花がでかい」「××くんちの前のツツジは蜜が多い」なんて情報交換をしたものです。

花の付け根に蜜が溜まっている
花の付け根に蜜が溜まっている

なのでいまでも、あのツツジ科独特の5枚の花びらがくっついた花を見るとつい蜜を吸いたいと思ってしまうのですが、実はこれはあまりオススメできない行為でもあります。というのも、ツツジの仲間には強い毒を持つものがあるのです。

蜜を吸ってはいけないツツジ

初夏ごろ、高原の牧場などに行くと、鮮やかな赤い花をたくさん咲かせているツツジを見ることがあると思います。これはレンゲツツジという種類で、野生種ですが花が美しいこともあり、街中に植えられているのもしばしば見かけます。

レンゲツツジ
レンゲツツジ

このレンゲツツジもいかにも蜜が美味しそうに見えますが、実はかなり強い毒を持っています。不用意に蜜を吸うとひどい腹痛や下痢に襲われ、重篤な場合は全身麻痺に陥ることも。

実はツツジには強い毒を持つものがあり、その有毒性は古くから知られています。紀元前4世紀のギリシャでも兵士たちが ツツジ属植物の蜜に由来する蜂蜜で中毒した様子が記録されています。最近でもトルコでツツジ属の花からとった蜂蜜を食べた人が中毒する事故が発生したそうです。

ツツジの仲間は観賞用に

レンゲツツジ以外にも、ツツジの仲間には毒を持つものがいくつもあります。有名なものに「アセビ」があり、これは漢字で書くと「馬酔木」、葉っぱを食べた馬が中毒してしまうことからこのように名付けられたそうです。

アセビ
アセビ

ツツジの仲間は品種改良も盛んに行われていますが、観賞用の植物ということもあって毒性などは意識されることはありません。そのため、その過程で未知の有毒種が生まれている可能性もないとは言えません。

あの蜜の美味しさを知る身としては残念ですが、ツツジの仲間のあのラッパのような花を見かけても、その蜜を吸うのは控えたほうがよいでしょう