アンスリウム栽培に活用しているポリエステル媒地

 川俣町のポリエステル媒地活用推進組合は、化学繊維の培地に苗を植えアンスリウムなどの花卉(かき)栽培に取り組んでいる。土の代わりに、古着をリサイクルしたポリエステル繊維で花を生産している。

 全学規模で町の復興支援に取り組む近畿大と連携している。ポリエステルを主体に保肥性を高める人工ゼオライトや木炭などを配合し、完成する。ポリエステル媒地は半永久的に使用できるという。

 焼却予定の古着をリサイクルするため二酸化炭素(CO2)排出を抑えられ、環境配慮型農業の実践につながっている。同組合によると、ポリエステル媒地一キロ当たりでCO2三・一四キロを削減でき、脱炭素に大きく貢献できる。


■アンスリウム50種類超出荷

 東京電力福島第一原発事故からの農業復興に向け、二〇一七(平成二十九)年に発足した。原発事故の避難指示が解除された山木屋地区の生産者を含む十二人で構成し、五十種類超のアンスリウムを出荷している。


 鴫原秀雄組合長 「かわまたアンスリウム」のブランド化のために組合員が一丸となり取り組んできた。年間五十万本の出荷が目標だ。新たな担い手を呼び込むなど、さらなる生産拡大に向けて力を尽くしていきたい。


【主な取り組み】

■古着の再利用

・リサイクルにより取り出したポリエステル繊維を活用した農業の実践

・二酸化炭素の削減に貢献


■最先端技術の導入

・ビニールハウス内の温度や湿度、空調などを情報通信技術(ICT)で管理


■安定的な出荷に向けた体制構築

・大田市場(東京都)と連携した販路確保。組合員らが会員制交流サイト(SNS)で受注本数を共有