見た目も、心もボロボロになっていく娘を見ていたら、いたたまれなくなったんだろう。
ある朝、仕事に行こうとする私に母は言った。
「大丈夫だよ~。せっかく就職出来たんだし。行ってきまーす!」
私は急いで家を出た。
そう、当時十数年前は(年がバレる?
)就職氷河期、就職できただけでも有り難いこと、絶対に辞めたくなかった。やっと就職出来て、親孝行が出来る、大好きだった祖父には出来なかった、恩返し。
辞めてしまったら、親不孝者だ。
親が心配する。私は段々、弱音を吐かないようになっていた。
そんなある朝のことだった。
原因不明の腹痛に襲われ、病院へ運ばれた。
意識が朦朧とする。
気が付けば病院のベットの上で点滴されている自分に気が付いた。
食べれない、眠れない日々が続き、仕事をする。
体が悲鳴をあげていた。
母は言った。
「もう、我慢しなくていい。」
その後、私は仕事を辞めた。
何で髪の毛が抜けただけで、仕事を辞めなくちゃいけないんだろう。
何で私、髪の毛がないんだろう。
何で?何で?何で?
大好きだった祖父が今も生きていれば、髪は抜けなかったの?
大好きだった彼が今も側にいたら、髪は抜けなかったの?
どうしようもない思いが頭の中を交錯する。
神様、お願い時間を戻して。
私に髪の毛をもう一度下さい。
何度同じことを思っただろう。
何度同じことを祈っただろう。
涙は止まることを知らなかった。
髪の毛が抜けただけで…。甘えていたかもしれない。
もっともっと辛い状況にある人もたくさんいる。
でも、私にとっては、髪は命だった。
髪をいじるのが、大好きだった。
染めたり、パーマをかけたり。
前髪を自分でカットする。
ヘアカタログの雑誌を見る。
次はこの髪型にしてもらおう。
美容院へ行くことが、大好きだった。
もう…、出来ないんだ…。
誰にも会いたくなかった。
外に出たくなかった。
私はひきこもりになってしまった。
続く。