遠州入門―浜松市 佐久間のやまんば | 爺さんの徒然日記

遠州入門―浜松市 佐久間のやまんば

◆昔 昔の話 佐久間(浜松市天竜区佐久間町)の倉木山に

やまんばが住んでいた

 

 

やせた顔で真っ白い髪の毛を長く垂らし

背の高いやまんばは素足で山を駆け回っていた

普段は木の実や魚などを食べていたが

一番の好物は獣の肉で牛や馬を骨までてべ尽くしていた

怒らせると人まで食べてしまうという噂もあった 

 

 

やまんばはとても優しく困った人を見つけると進んで助けた 

里に出かけて機織りを手伝ったり子供をあやしたりすることも大好きだった 

里の人はやまんばにまつわるいやな噂を忘れて慕うようになっていった 

 

ある日のこと やまんばが

「家のことはわしがやる 焼き畑の仕事に精を出せ 子守りも任せろ」

というので大人は山に出かけて行った 

今までも何度か世話をしてくれたのでみんな安心していた 

しばらくすると家の方から尋常ではない子供の泣き叫ぶ声が聞こえて来た 

急いで家に帰ると髪を振り乱したやまんばが

ものすごい形相で子供を食べていた 

あまりの恐ろしさに両親は声も出せずその場に倒れ込んでしまった 

やまんばは

「文句あるか おまえ達も食べてやろうか」

というと倉木山に帰って行った

里の人たちは

「このままではみんなが食い殺されてしまう」

「やまんばの正体が分かったからには

何としても退治しなければならない」

と話し合い山に向かった

 

 

里の人たちはそれぞれに竹槍や斧などを手に持ち山に近付いて行った 

すると辺りが突然真っ暗になったり 

稲光とともに激しい雨風がたたきつたりと

恐ろしいことが続き山に入ることができない 

里のみんながやまんば退治を諦めかけた時のこと 

やまんばは悪びれた様子もなく少し離れた里に現れた 

里の人はやまんばの大好物のそば団子でもてなした 

 

 

「こりゃ 美味い もう一つ」

と言いながら腹いっぱい食べた後 突然

「熱い 熱い 水をくれ」

と苦しみ出した 

そば団子の中に真っ赤に焼いた石をいれておいたのである 

「水をどうぞ」

と言いながら油を出すとやまんばは一気に飲み干した 

腹の中が煮えたぎったやまんばは

天竜川に飛び込んで消えてしまった 

 

その後やまんばを見た人は一人もいないそうである

 

(^。^)y-.。o○

 

bye-bye  (>_<)