江戸の「ことわざ」面白講座(93)
《江戸っ子の文化》
◆芝居は一日の早学問
芝居見物は早朝から夕方まで一日がかりとなる
芝居を見れば歴史上の出来事や義理人情 男女の機微
勧善懲悪の道徳 ことわざなどが手っ取り早く学べるということ
字を読めない者も『仮名手本忠臣蔵』で
赤穂浪士の討ち入りを知ることができる
史実とはだいぶ違うのは今の映画やテレビと同様である
芝居見物は女性にとっては好きな役者を見るだけではなく
自分も観客から見られる存在であり
着ていく着物に念がいった
また よい席を確保するのは江戸時代でも大変な事であった
1776年(安永5年)二月江戸堺町の市村座に大名の奥方一行が見物に来た
ところが芝居茶屋を通して予約しておいた桟敷が埋まっていた
こうした手違いはよくあることで茶屋は桟敷を遣り繰りする間
奥方一行に茶屋で待ってもらうことにした
ところが奥家老はこういう全く撫案不案内だったようで
「座敷ふさぎたる由 いいわけなきゆえ」(『半日閑話』太田南畝著)
面目が立たぬと二階の座敷で腹を切ってしまった
この切腹騒ぎで芝居は昼に中止となってしまった
せっかくの芝居見物がおじゃんになって
観客はさぞ無念だったろうと思われる
それにしても江戸時代半ばになると
武士はこんなつまらないことで腹を切っていたのである
(^。^)y-.。o○
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