茂木 健一郎
意識とはなにか―「私」を生成する脳

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 著者は「意識とは何か?」というテーマで、講談社ブルーバックスやNHKブックスなんかにも著書のある人。前から気になってた著者なんだけど、この本を読んで見てちょっとガッカリ。。。

 この本の最初のところで著者は、なぜ脳の神経細胞の電気的な反応が集まっただけなのに、そこから意識が生まれるのか?という問題を立てます。そしてこの問題を解くカギは、たとえば赤い色を見たときに感じる「赤さ」や、透明なコップを見たときに感じる「透明さ」といった「質感」の把握のされかたを調べることで得られるのではないか、と提案します。そしてこのような、意識が感じるさまざまな質感のことを「クオリア」と名づけます。

 と、ここまでは「ふむふむ」といった感じだったのですが、そこから先、どこまで読み進めても「クオリア」とは、といった話ばかりがダラダラと続いて、肝心カナメの「意識とはなにか?」「クオリア研究と意識の解明とはどうつながるのか?」という問題にはほとんど触れていない。これはちょっとマズイのでは??

 意識とはなにか、というのは大きな謎だということはわかります。でもせめて、筆者はどう考えてるのか、という点についてだけでも、もうちょっと掘り下げて書いてほしかったなあ!

ps.
 この本の末尾、「より詳しく知りたい人のためのガイドブック」と題された5ページほどのガイドは、どれもこれも良書ばかり紹介されていて、読む価値ありです。なかでも、ラマチャンドラン氏の「脳の中の幽霊」や、R・ペンローズ氏の「皇帝の新しい心」なんかは、「意識とはなにか?」という問題について考えるうえでの必読書といってもいいくらいの本ですので、興味あるかたはぜひ読んで見てください。