性加害問題~私の体験談~ | (社)あがり症克服協会 鳥谷朝代のあがり症克服講座

(社)あがり症克服協会 鳥谷朝代のあがり症克服講座

中学の本読みで発症以来17年間苦しめられたあがり症を克服。
14年勤めた名古屋市役所を退職し、(社)あがり症克服協会を設立、理事長に就任。
元あがり症ならではの視点で、あがり症克服に関する情報や、教室風景を発信していきます!

昨年から、某アイドル事務所やお笑い芸人さんの「性加害問題」の報道が過熱してますね…。

「昔のことをなぜ今さら?」「同意したんでしょ?」「警察に行けばよかったのに」などという指摘もあるようですが、性被害にあった人が、「あれは被害だったんだ」と認識するまでに、相当な時間がかかると言われています。


「自分が悪い」と自分を責めてしまったり、誰にも相談できず、PTSDなどの後遺症に悩まされるケースもあるそうです。

私の経験を少々お話しますと…

私は高校を卒業後、18歳で市役所に入庁しました。

最初の職場は区役所の窓口。
直属の上司は40代の男性で、右も左もわからない私に、まさに「手取り足取り」指導してくれました。

やがて、その上司が、私の帰りを待ち伏せするようになりました。


「駅まで送っていくよ」


無知な私は、それを上司の親切だと受け取りました。

そのうちに、「家まで送っていくよ」「お茶でも」「食事でも…」とエスカレートし、さすがによくないと思った私は、お断りするようになりました。

すると、手のひらを返したように、無視されるようになりました。
挨拶しても無視、わからないことを質問しても「他のヤツに聞け」。

まだ入庁して1年目の新入職員にとって、地獄のような日々でした。

「パワハラ」「セクハラ」という言葉もなく、相談窓口もありません。
家族にも職場にも言えず、「せっかく入った役所だけど退職しよう…」とひとり心に決めていました。

そんなとき、周囲が異変に気づいたようで、(あんなに終日私に付きまとっていた上司が、急にガン無視してるのでさすがにわかりますよね…)
所長から「次の異動でアイツを飛ばすから、それまでガマンしなさい」と耳打ちされました。

そして、数か月後、上司は本当に部署を異動し、後任には女性の上司が来ました。

他にも、今では考えられませんが、職場にヌードポスターが貼ってあったり、慰安旅行のバスの車中でAVを流されたり、宴会には必ずコンパニオンさんがいたり、
女性職員をホステス扱いし、身体を触ってくる人も…。

今では完全にアウトなことも、30年前は言えませんでした。

あのときどうすればよかったか。
「やめてください!」と言えたのか。
どこかに訴えることができたのか…。

立場が弱いと、その場は我慢してしまうかもしれません。
(卑怯なことに、言えるタイプの人にはやらないんですよね…)

だから私は、性加害のニュースを観ても、「何を今さら」とは思えないのです。


被害にあった人は、長い間、誰にも言えず、傷を負ったまま生きていることもあるからです。