楽しみにしていたツーリングは
冷たい雨に流れてしまったけれど
その翌日
澄みわたる蒼天が眩しかった日曜日
凍てついた雨上がりの早朝のこと
目覚めた僕はcameraを手に
霜柱を無意味に踏みしめながら
庭のほうへゆっくりと歩いてゆく
葉を落としたハナミズキのそばの
熟れて朽ちかけた山茶花の前 …
青い冷気はcameraを構える僕の指に
きりきりとその爪を立てており
僕は朽ちた山茶花に魅せられて
逆光のなか痛みを忘れ対峙する
息を殺したまま …
透きとおる花弁に張り巡らされた
毛細血管のような葉脈にピントを合わす
親指と中指で挟んだフォーカスリングに
微妙なさじ加減で意志を伝える
曖昧であった葉脈が徐々に浮き上がる
それは
陽光に蕩( とろ )けた薄紅の肌に
薄っすら淫らに透ける青い血くだのよう
そうして僕は
こころがシャッターを切るその刹那を
今日も息を殺したまま …
ただ静かに待っている
とても寒かったけれど
今日も世界はこんなに美しい
おはよう
ごめんよ 今日もあまり疾走れないんだ
ちょっと … 出かけてくるね
国道では多くのツーリングライダーとすれ違う
空はこんなに嬉しそうだもんね
帰ったら少しだけでも …
出先の街中で見あげた木の上に
漆黒の翼をもつあの黒い鳥の巣 発見!
山や森の木の上にだけ巣を作ってると思ってた
街中は世知辛いかもしれないけれど
子育てしっかりがんばりなよ
子どもたちがおやつを貪る午後3時
小一時間ばかし疾走りました
んっ?
黒寅 今日は鷲羽山へは行かれないんだ
また今度 行こうね
んっ?
黒寅 やまなみは塩カルだらけだよ
あったかくなったら 行こうね
風はとても冷たかったけれど
たくさんは疾走れなかったけれど
黒寅の背なで味わう風はすごく気持ちよくって
僕はゆっくり流るる雲をうっとりと眺めながら
黒寅との偉大なる逃避行を終え家路を急ぐのでした
次回!
いつも留守番ばかりでごめんね
今日はきみにプレゼントがあるんだ
ちょっと大きいかもしれないけれど …
D寅くんとの偉大なる逃避行へ
To Be Continued ♪ →




