「あ、こんばんわー」
二人はしゃがんだままぺこりと頭を下げた。
私は持ってきたビニール袋から、小さい花火をいくつか出した。
「これ、余っちゃったんで。よかったら楽しんで下さい。」
「あー、すいませんー。」
カップルだったので、あえて彼氏の方に手渡した。
まあ、AGAも挨拶用の小道具だ。
「実はこのあと、大きめの花火を上げるんですが」
安全には充分配慮するつもりですが、いちおう念のために
お気を付けになっていて下さい、と頭を下げた。
「あ、わかりましたー。」
「遠くから楽しませてもらいますー。」
こんな感じでコミュニケーションを取りながら、注意を促す。
以前、自分たちメンバー内でだが
横に飛んだロケットの直撃を受けて
砂浜に転倒した奴もいた。それから始まった対策なのだ。
何かあってからでは、責任の取りようがないのである。
とりあえず、ロケットの射程には誰もいなかったが
先ほどのカップルのような人たちが合計で３組ほどいたので
一通り挨拶を通しておいた。
たぶん問題はないと思うが、いちおう彼らの盾になる方向に
立っていたほうがより安全だろう。仕掛け台があればなあ・・
横に飛ばないようにするための仕掛け台だったのだが。
一週間あったのに、台を作らない幹事め。