半目 | 酔う人

半目

僕は半分目を開けて寝ている。

自覚したのは中学の頃。

「ユーシィ、寝とった時ぃ、半目ぇ開いとったぞぉ~。ぼっけぇ気持ちわりぃ。」

林間学校の最終日に友達に言われたのを覚えている。

それが年を重ねる度に、どんどん目の開きが大きくなっている……らしい。

最近では疲れている時とか酔いつぶれた時なんぞ、完全に目を見開いてるそうだ。

今年の一月、後輩達と北海道にライブをやりに行く。

それはそれは楽しく、最終日の打ち上げでは料理の旨さも手伝って、かなり深酒してしまった。

ホテルに戻ったまでは覚えているのだか、部屋に入った瞬間、ベッドまで辿りつけず床に寝てしまったみたい。

朝方まで呑んでいた同室の後輩が部屋に戻ってきた時、絶句したそうだ。

床にうつぶせになって顔だけドア方面に向き、さらに完全に目を見開いている先輩…。


「死んでいる…。」


まだ酒が残っている後輩はそう思ったらしい。

そっと僕の手を取り、脈を確認したそうだ。

脈を確認して、安心する。
当然、生きてるよ。

顔に手をかざして目をつぶらせてくれたらしい…。

ドラマとかで死人にやる事だけどね。


だからいつも目覚める時、目が乾いて痛い。

嫁に言わせると、

「嘘寝はすぐわかる。」
との事。

そりゃそうだ。目がつぶっていれば眠れていないという事だ。


先日、深夜に帰宅した時、子供の寝顔をみると、半分目が開いていた。

「似てしまったね~。」

と振り返ると、嫁も半分目を開けて寝ていた…。




ブルータス、お前もか!